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法廷の渡り鳥 【天界裁判編】 1

「魔導書と……ほうきと、保険のスマホ! あ、圏外だ」


 この惑星では最も太陽に近いとされる場所『エンジェルエリア』という、空高い位置に天界がある。ここで言う下界、つまりは地上の人間は殆どが認知していない。

 これから挑むらしい天界裁判に、魔法と現代の文明を持っていく気楽さはどこから来ているのか分からないが、魔女である彼女『ドロシー フォード』は持っている使えそうな物を確認している。

 近くの少々距離にワインレッドのソファーでゆっくり腰掛けているもう一人の魔女、こっちは全体的に青い衣装で両目に包帯を巻いている。怪我している訳ではない。


「大丈夫だドロシー。わたしが何でも持ってきてやるから」

「本当! ありがとうナゾ子。そういえばずっと気になってるんだけど、目って復活したんだよね? 取らなくていいのかな」

「癖ってやつだ。イザという時は『取る』」


 口元からして明らかに悪巧みしている様子だった。

 この法廷で勤めているらしい神父のような、30代くらいの見た目の男性が低空浮遊しながら来てはドロシー達を法廷へ誘導する。


「時間である! 速やかに来たれよ!」



ーーーー




 いつもの魔女の帽子を頭に乗せ、多くいる観客の群衆はほぼほぼ天使で少々雑談のガヤが耳をくすぐるようだ。


「で、今更なんだけど。何で私を呼んだの?」

「……友達が不法に天界から追放された。侮辱や冤罪を晴らす」


 神妙な面持ちで腕を組み包帯越しに睨むは、裁判長席の背後にえがかれている女神のイラスト。


「それに一回やった事あるんだろ? 頭が筋肉で出来てる自分よりやれるさ」

「ま、まあ。否定はしない」

「否定しろよ! 事実だけど! とにかく、頼むよ」

「おっけー」


 向こう側は女神直属の部下らしい男性が立っている。金髪で髪は短く綺麗にまとめられていて白いスーツを着た、20代のドロシーの同い年くらい。丁寧に白い手袋をはめては深呼吸をする。


「なぜ下界の魔女が天界の位置を即座に特定し、追放された天使の事実を知っているのか理解できません。ともあれ、素晴らしい能力かと思います」


 微笑んで音が立たないように小さく拍手、でも何を考えているかまるで分からない。


「うるせえマセガキ。わたしは女神の子供だ」

「……ほほう? にしてはお口が悪いようですね」


 早速にして、間に火花が散っているような様子だ。

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