10章 出題者のり子、その景品は?-4
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
22/12/05 10:00 事務所
「つまんないッスよー。オレら舐められてません忠司さん?」
「確かにな。もう雅樹の勝ちでいいから、俺は勝負を下りるぞ。」
文句を言いだした男性陣、忠司を勝たせるためとはいえ問題をシンプルかつひねりのないものにし過ぎたのである。
「ちょっと待って、バカにしてるわけじゃないのよ。実はこれまでのは前座なの、この最終問題が本番よ。舞台はドイツで起きた殺人事件、この事件の犯人とそのトリックを解き明かした方の勝ち。」
慌てて前から温めておいた事件を持ち出すのり子。本当は別の日の昼食バトルにでも使おうと思っていたのだが、この状況を続けさせるためには仕方ない。とにかく忠司に勝ってもらい、雅樹に負け星を付けたいのり子である。
「そう来なくっちゃ!そういう問題を最初から出してくださいよ。」
「刑事事件なら俺も興味あるな、よし続けよう。」
二人のやる気も回復したようで、とりあえずホッと安堵の一息つくのり子。
「じゃあ事件概要から始めるわよ。」
被害者はトーマス・スターさん46歳の舞台俳優。二人の息子はそれぞれすでに社会人として一人立ちしており、事件当時はドイツ郊外の一軒家に妻のアンと二人暮らし。第一発見者は妻のアンでこの日は同窓会から帰ってきたところだった。自宅に22時頃到着し電気がついておらず呼びかけても返事がないことを不審に思い、家中をトーマスの名を呼びながら歩き回る。
そして寝室のベッドの上でうつぶせになっているところを発見。最初は寝ているのか…と思ったが電気をつけてよく見るとシーツが真っ赤に、そしてトーマスはピクリともしない。事の重大さをようやく理解した彼女は、レスキューと警察に電話をしたことで事件が発覚。
死亡推定時刻は死体の状況から20時~21時頃と判断され、窓や玄関などの出入り口はすべて鍵がかかっていた。凶器は犯人によって持ち去られたのか、現場には無し。
この事件で浮上した容疑者は以下の3人である。
・妻のアン 黒っぽい茶髪の40歳。この日は朝8から時に同級生の家に出かけ午後まで一緒にショッピングやランチ、その後16時~20時まで同窓会に顔を出している。同窓会の会場から自宅までは1時間の道のりのため、1時間ほどの空白がある。
・元マネージャーのリンダ ブロンドヘアーの34歳女性。その後の調べでマネージャー時代からトーマスの不倫相手だったことが判明しており、不倫の事実も認めた。この日も16時から来るよう言われて18時頃まで一緒にいたという。
・現マネージャーのナーシャ 綺麗な金髪の35歳既婚女性、トーマスとの不倫のウワサがある。事件の前の週に夜道を二人で歩いている写真を週刊誌に暴露されたりしているが、本人はキッパリ否定している。事件当日20時にトーマスから自宅に来るよう言われていたため尋ねたが、応答がなかったと証言している。
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