10章 出題者のり子、その景品は?-2
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
(でもここからが難しいわよ。合コンに参加させるのはぶっちゃけどっちでもいいんだけど、アタシとしては雅樹くんをギャフンと言わせたいわけだから八重島さんが勝てるようにヒントを与えないと。)
のり子が危惧しているのはそこである。少ない手がかりをパズルのように当てはめ、さらに得意の『閃き』により一気に解決する雅樹。対する忠司は状況や証拠などの情報を揃えてから、道筋を立てて順序良く考えるタイプなのだ。下手なヒントは雅樹の閃き発動を誘発しそのまま勝たせてしまうため、のり子の逆襲劇は成立しない。
(アタシの腕の見せ所ってわけね!)
22/12/05 9:30 事務所
「じゃあルールは今までと同様、アタシが出題者で八重島さんと雅樹くんが回答者。先に正解した方が合コンに参加できるわ。」
おっしゃー合コン!と鼻息荒く闘志メラメラな雅樹に対し、知らない人と飲み会なんて何が楽しいんだと全く正反対の忠司。この調子だと雅樹を向かわせるのが筋であるが、今回は忠司に勝ち星を上げさせなければならない。
「じゃあ行くわよ、今回はズバリ"ストーリーかるた"。物語のストーリーをアタシが少しずつ出題するから、分かった時点で回答してね。お手付きの場合は相手が一回解答権を使うまでお休みよ。3回出題するから、2点先制した方の勝ちね。」
「なんかそれ、忠司さんに有利な出題方式じゃないッスかぁ?」
雅樹がブー垂れるも、のり子はまったく気にしない。
「まぁその辺はやり始めれば分かるわよ、質問ならいつでもいいわ。じゃあ第一問。」
・その者は誰と婚姻を結ぶこともなく静かに暮らしていた。
・だが容姿はとても美しく、見る者をすべて魅了したほどだ。
・あらゆる貢物を献上されたが、その者の心が動くことはなかった。
「忠司さん、分かりました?」
「さぁな、ヒントが少なくてな。」
「じゃあオレ質問!その人、月に帰ったりします?」
のり子が飽きれながら答える。
「それほとんど答えよ雅樹くん、YES。」
「分かりました、答えはかぐや姫だ!」
「雅樹くん正解よ。さすがに簡単だったかしらね?この後のヒントは帝をも魅了する、竹林で見つけられた、一緒に住んでいるおじいさんとおばあさんは赤の他人などね。」
オレの勝ち、楽勝!などと騒ぐ雅樹とは対照的に静かな忠司。
(おかしいわね…八重島さんたぶん分かってると思うけど。合コン行きたくないから勝ちを譲ったのかしら?もう、それじゃアタシの復讐計画が台無しじゃないの!)
いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。