9章 デジタル金庫の真相-7
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/11/25 12:00
リモコンを見つめなにやら固まる雅樹、その様子に気づきのり子が声をかける。
「嘘だと思ってる?さっきだって2~3回押さなきゃ反応しなかったんだからね。その証拠に見なさいよ、湿度の表示。スマホのアプリで見ると今の湿度予報57度なのに、それ電池切れかかって7のデジタル表記の横棒が消えて1に見えるでしょ?」
その言葉に雅樹はなんだか魚の骨が喉に引っかかったような、もうちょっとで閃きそうなムズ痒い気持ちになる。忠司がのり子の言葉を引き継ぐ。
「デジタルの数字って言われてみると面白いよな。7の上の横棒を消して1に、8は真ん中を消すと0に、左下だけを消すと9になるし。マッチ棒パズルみたいだな。」
「分かった!」
急に大声を出す雅樹に驚く忠司とのり子。キッチンでビーフシチューを分け終えた和子夫人も、何事かとリビングに現れる。
「分かりましたよ、金庫の暗号が!ご主人の書斎へ行きましょう。」
2022/11/25 12:10
「ご主人がアナログ時計ばかりにこだわりそのためこの家のどこにもないデジタル時計、10時からスタートしているアルファベット、記号も候補にあるパスワード入力…。まず暗号の付箋紙を思い出すと、03-■となっていました。そして■は記号の℃、問題はその前の3桁です。これはそのまま入力するのではなく、デジタル数字の表記に当てはめると別の文字が浮かび上がるんです。大切な金庫のパスワードのために、一つ捻って考えなきゃいけなかったんだ。デジタル時計は常に人の目につくし、露骨なヒントになってしまうことから旦那さんは身の回りの時計をアナログ表示にするよう徹底していたわけです。つまりこういうことです。」
「-10が浮かび上がり、合わせると-10℃となるわけか。冷凍庫の温度設定みたいだ…家電関係の仕事っぽいパスワードと言われればそんな感じか。」
「アルファベット振りが10からスタートしているのは、忘れないためだったのかしら?アタシもスマホアプリのパスワードとか、手帳にメモしてるわねそういえば。」
忠司とのり子が口々に言ってる間に、雅樹がパスワードを入力していく。
『ガチャンッ!』聞いていた通り、大きな音がした。
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※22/12/03 過去分含め初登場人物は、初めて登場した際にのみ名前にルビを振りました。