9章 デジタル金庫の真相-2
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/11/23 17:45 事務所
警部は続ける。
「金庫自体はよく駅なんかにあるLサイズのコインロッカーくらいありかなり大きい。その金庫の不思議なところはパスワード入力がデジタル式で4ケタなんだ。これだけならありがちだが、数字だけでなくアルファベットや記号まで入力候補にある。ちょうどスマホの画面キーボードのような感じだな、記号まで含めると莫大な入力候補になってしまうから1から総当たりという手も正直やる気がしなくてな。ちなみにその殺された菊地さんなんだが、家電メーカーの重役だった。それももしかしたら何か関係あるかもしれんから一応伝えておくぞ。」
雅樹が首をひねる。
「家電メーカーの重役で、大きな金庫で、デジタルロック。正直それではヒントが少ないですね。」
すると警部はまぁまぁと言いながら、続ける。
「奥様に話を聞いたとき、あの金庫はとある時計とリンクしていると以前話していたそうだ。だが菊地氏の自宅にある時計はどれもアナログ式であり、どれも近所の家具屋さんで適当に選んだありきたりなものだそうだ。最初はヒントのようなものがどこかに書いてあるのかと睨み、菊地氏宅の時計をすべて預かり分解までしたが何も出てこなかった。その内殺人事件の方は解決したし、脱税の方はあくまでウワサだと処分されてしまった。しかしこのまま解決扱いにしていいものか、と思ってな。奥様の方も脱税の白黒をハッキリさせたいと協力を申し出てくれている。」
忠司が首をひねる。
「時計と言っても、スマホの画面にも時間が表示されるじゃないですか。」
だが警部は首を振る。
「菊地氏のスマホ・パソコンも調べたさ、だが何も出てこなかった。ただ唯一不思議だったのは、スマホもパソコンも時計がアナログ式に設定されていたことだ。若い部下によると初期設定はほとんどがデジタル式になっているはずだから、菊地氏が生前わざとアナログに設定したのだろうと。」
そこでのり子が口を挟む。
「家中の時計だけじゃなくスマホや時計までアナログに設定してまで統一しているなんて、絶対怪しいわね。Lサイズのロッカー、アナログ時計でちょうど3時を表す針の位置よね?」
しかしそれは警察も試したらしく、4桁に直し0300や1500はもちろん、0015や1215も違うとのことだった。まだヒントが少なすぎる。
警部曰く奥様に事務所のことを話したため、翌日改めて来てくれるということで今日はいったんお開きになった。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)
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