8章 負けられない戦い-菅野さおりの証言
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
お義父さまが亡くなって驚きました。心臓病など持病がいくつかあることは前から知っていましたけど、出発前はいつものように息子の達也と遊んだりしてましたから。
夫が転職したのを機に私も同居させていただいてますが、家事は家政婦の坂本さんにやらせておけと言われていますので私は基本的に手出ししません。坂本さんがお休みのときに、私と夫と達也の分を私が洗濯するくらいです。一夫さんと節子さんの洗濯は別に節子さんがやられます、坂本さんがいないときの料理やお掃除も。だから私、正直日中とても暇なんです。家政婦さんや節子さんが働いているのに、私だけ何もしないでいいというのは…ちょっと居づらくて。だから日中は外へ図書館へ本を読みに行ったり、ママ友の家にお邪魔したりして時間を潰しておりました。
私が浮気してるって、誰ですかそんなこと!くだらない噂を流す人ってどこにでもいるものです、警察もそんな話を真に受けるなんて暇なんですね。えっこの写真に一緒に並んでる人はって、あぁ…それは確かお義父さまと買い物に出たときです。ちょうど出先でバッタリ会って、新しいネクタイを選ぶからと言われて買い物に付き合いましたわ。その程度で浮気扱いされたのではたまりませんわね!
事件当日、私は5時30分頃起きていました。新年の旅行ですから、やはり気合を入れたくなるのが女心というもの。夫はぐうぐう寝ていましたけど、達也も6時15分頃に目を覚ましました。トイレに行くと言って部屋を出てしばらく戻らないので、まさかと思ったらやはりお義父さまの書斎に寄り道していたようです。朝6時30分より少し前かしら…25分頃だったと思うわ、スマホを見ましたので。それでお義父さまの部屋へ行って、お仕事の邪魔しちゃダメよと連れ戻しに行ったのですがお義父さまも達也が大好きでしょ?駄々をこねられて、どのくらいかしら?それでやっと自室に達也を連れ戻したら今度は夫がいませんでした。私たちのすぐ後にトイレ行ってきたと部屋に入ってきましたけど…。時間はそうねぇ、6時35分前ってところかしら?そのあとはみんなで7時に食卓で朝食を食べて、支度をして8時に出ましたわ。いいえ、私はお義父さまのピルケースに触ってもいませんわ。そもそも誰にも触らせようとしませんもの、大切なお薬ですものね。
忠司「この後、警察の知人への聞き込みにより一夫とさおりは不倫関係にあったことが明らかになった。聞き込みから得た情報を元にラブホテル駐車場の監視カメラの映像を見せたところ、認めた。平日の昼間にたびたび逢瀬を重ねていたようだ。」
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