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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
8章 メンバー同士の対決②
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8章 負けられない戦い-5

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。

 2022/11/4 12:10

 さてどこから説明しようか、と話しあぐねる忠司に対しのり子が11歳の達也くんはともかく、それぞれの人に動機はあるの?と促す。


 被害者の菅野一夫は、元電化製品メーカーの社員でありその時の知識や経験を活かして部品メーカーを自ら作った。その時のノウハウや人脈を生かし、会社を軌道に乗せた1代社長だ。


 家政婦の坂本久子は、事件の1年ほど前に雇われていた。久子の息子が一夫の車に追突事故を起こしたのだ。一夫の車は全損になったため、車両の弁償など含め総額約500万円。さらに悪いことに保険が切れて更新せぬまま乗っていたため、事故の賠償をすべて息子が被ることになったのだが、久子の貯金で払っても半分ほど足りなかった。そこで一夫は久子に家政婦として働くよう命令した。月収は相場の半額で、もう半分は自動で一夫側に補填される。事故の分が払い終わるまで、しかも朝から晩までだ。また一夫の扱いもぞんざいなうえに一夫の家は広く、さらに達也の面倒まで見なければならず負担は大きかったようだ。


 妻の節子は我慢強い性格だった。夫が過去に何度か浮気をしても、浮気は男の甲斐性だと言って離婚を言い出そうとはしなかった。周りは子供がいることと旦那が社長になって金に融通が利くようになったから別れられないんだ、などと噂していたようだが。ただ夫との関係は悪くはなかったようで、一緒に関係会社にあいさつ回りをしたり、年賀状やお中元は夫の分まで面倒を見ていたりと社内でも理解のある奥さまだと評判だった。


 息子の信哉は別の会社で営業のサラリーマンをしていたが、元々あまり人付き合いが得意でないのもあって営業成績が伸びず、連日上司からの叱責に耐えられず辞めて妻を連れて実家に帰ってきた。それからは一夫の会社に入ったようだ。だが一夫はそんな信哉に失望すると社内でも雑用しか与えず、周りの社員たちも社長の息子だからと腫物を触るような扱いで肩身が狭かったと当時語っていたな。一夫との関係はあまりよくなく、会社でも話しかけることは許されていなかったようだ。


 信哉と妻のさおりは見合い結婚だったそうだ。当時数年付き合っていた彼氏にフラれて落ち込んでいたさおりは、まじめで優しく不器用な信哉に惹かれて結婚し達也を授かった。だがまじめで優しい夫というのはつまらないものだ。退屈な日々に飽きたさおりは平日の日中たびたび家を抜け出し、外で浮気しているという噂があった。節子は感づいていたようだが、証拠もなく咎めることはできなかったと言っていた。信哉とは特に喧嘩もなかったため、浮気には気づいていなかったと思われる。家では義理の父と息子の嫁ということで特段関わることもなく、食卓で一緒にご飯を食べるときなどに顔を合わせる程度だったという。



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