7章 難しいお年頃-11
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/10/25 12:00 事務所
「それより腹減りましたよ、飯にしましょうよメシ!のり子さんに前言われたから、ちゃんとジョギング後は何も食べず事務所に来てるんですから。」
雅樹は空腹になると食事が最優先になるようだ。しかしのり子が慌てた様子を見せている。どうしたんですか、と雅樹が聞くと持ち合わせがないという。どうやら西城家に行ったときに張り切ってちょっと高めの買い物をして、そのまま土日を挟んだため銀行に行けてなかったという。
「なんだそんなことですか、いいですよ今日はオレがのり子さんの分も合わせて払いますよ。困ったときは協力ってね!」
それを言うならお互い様だろ、と思いながら忠司はふとぼやく。
「なんだかそのセリフ、川島田が同じこと言ってなかったか?」
そういえば雅樹くんは後から来たからザックリとしか説明してなかったわね、と言いのり子は真里の生前の写真が入ったアルバムの後ろに書かれていたメッセージのことを話した。すると雅樹は何か閃いたようで、忠司と愛里の誕生日を聞いた。正俊は3月29日、愛里は11月8日だという。
「このスマホのパスワード、8桁なんですよね?じゃあ父親を先にか愛里ちゃんの方を先に入れて組み合わせて8桁にしてみては?」
雅樹に言われた通りのり子が入力してみるが、ダメである。それなら、と雅樹は次の案を出す。
「じゃあ、"協力"のキーワードを元に足してみましょう。二人の誕生日を足して1437、その後ろにヨロシクの4649を合わせて入力してみてください。」
のり子も忠司も、そんなシャレみたいなパスワードで…と思ったが、なんと解除できた!
「すごいな雅樹、やっぱこういうのは雅樹が得意ってところか。」
感心するように言う忠司に、まんざらでもなさそうな雅樹。
「その愛里ちゃんって子は中学生なのに恐らくパスワード分かってるような感じだとのり子さんが言っていたので、そんな難しくないんじゃないかと思って。誕生日をパスワードにするクセがあるそのお母さんと、父娘で力を合わせてほしいってところで足し算かなって。割と単純だったのは、やっぱり家族に解けるようにしてたんじゃないですか?現に愛里ちゃんは分かってるみたいですし。」
「とにかく、愛里ちゃんはまだ学校だからお迎えに行く頃を見計らって連絡しましょう!」
意気込むのり子と対照的に、腹が減ってそれよりメシーとぐったりする雅樹であった。
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22/12/02 全体的な体裁を修正。