7章 難しいお年頃-4
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/10/22 16:50 西城宅
2歳の真由は帰り道の間のり子が一緒に歌を歌ってあげると、すっかり警戒を解いたようだ。家に着いて愛里がカギを開けると、ただいまーと言いながら勢いよく中へ入っていった。のり子は愛里に続いてお邪魔します、と中へ入った。
「あそぼ、あそぼ!」
保育園からの道すがらを歩いてきたのに、真由は元気なものである。愛里が慣れたように相手し出すと、のり子は口を開いた。
「さて、愛里ちゃんアタシは何をしたら良いかしら?ホームキーパーとして雇われてきてるから、なんでも言ってね。」
愛里は少し考えてから、答える。
「じゃあ私が真由の相手をしている間に、お風呂の掃除と夕飯をお願いできますか?いつも私が自分で夕飯作っているんですが、自分の味付けに慣れちゃって。真由の分は薄味でお願いします。」
それを聞くとのり子は、腕がなるわねと意気込んだ。そしてまず近所のスーパーへ買い出しへ向かうのだった。
18:00 西城宅
のり子はスーパーから帰ると、まず風呂掃除から始めた。お風呂はなかなか広く、深く腰掛ければいい感じで半身浴ができそうな浴槽だ。自分の家だとなかなかやる気が起きないが、人の家だとなぜか俄然やる気がでるのり子。排水溝掃除まで完璧に行った。
ダイニングキッチンに戻ると、二人は真里のアルバムを見ていた。それを見る愛里の目は懐かしそうな寂しそうな、複雑な表情で真由を膝に乗せ見せている。一方の真由はまだ分かっていないのだろう、ママ?ママ?と言いながら嬉しそうにあちこち指さしている。のり子は少し複雑な気持ちになりながら、夕飯づくりを開始した。メニューはオムライスをメインに、オニオンスープとポテトサラダとチキンステーキである。ただし真由の分だけは別に準備する、下味などを分けるためだ。愛里があのお姉さんがオムライス作ってくれるって、と真由に言うとその顔がパァと明るくなり、オムライス!と大きな声で言った。どうやら姉妹でオムライスが好物なようである。
実はのり子は依頼を受けてから今日まで、毎晩オムライスを作ってきた。卵だって1人暮らしなのにこの4日間で2パックも使ったのだ。もちろんそれ以外の食事は節制しカロリーバランスを取るのを忘れないのがのり子であるが。
連日練習して作ったオムライスは大好評であった、姉妹二人がおいしいねと言いながら食べる姿に練習した甲斐を感じるのり子だった。だがその反面、愛里の目がどことなく寂しそうな色を浮かべているのも、のり子は見逃していなかった。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)
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