7章 難しいお年頃-1
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/10/18 12:00
事務所のメンバー3人でお昼はどうしようかといつもの話題をしているとき、事務所のインターフォンが鳴った。どうやらお客様が来たようだ。いつものようにのり子がはいはーいと対応する。
ガチャ…のり子がドアを開けると、そこには一人の男性が立っていた。(歳は八重島さんより少し上かしら、身長も同じくらいありそう。しかもカッコいい!)のり子が心の中で呟きながらボーッとしていると、その男性は戸惑ったように苦笑いしながら声をかけた。
「あの~この前駅前で配っていたチラシを見て、ちょっと頼みごとがあって来たんですがよろしいでしょうか?」
心配そうにまじまじ見つめる男性に気づき、ハッと我に返るのり子。
「ごめんなさい、さぁどうぞ。まずこの来所者名簿にお名前をお願いします。」
その男性はのり子に言われるまま"西城正俊"と記名し事務所の中へお邪魔しますと言いながら入ってきた。
のり子が熱いから気を付けてと言いながらコーヒーを出し反対側の二人と一緒に並んで座り、忠司がご依頼はと問いかけると西城が依頼内容を話し始めた。娘二人と住んでいるのだが、週末の金曜日に取引先との接待が確定しており帰宅が遅くなってしまうので、それまで家に誰かいてほしいという。いわゆるホームキーパーというやつだ。
「やはり物騒ですから、中学生とはいえ女の子だけで家に留守番というのも不安でして。下の子がまだ小さいこともあり、それでお願いに参りました。」
西城の娘たちを心配する気持ちはもっともである、それに対しのり子が率先して声をあげる。
「それならアタシが請けましょうか、娘さんなら女のアタシが行った方がお父さんもいろいろ安心でしょうし。娘さんの好物を教えていただければ、ある程度夕飯のリクエストも答えますよ。」
そう笑顔で言うのり子に、西城も安心したようにではお願いしますとうなづく。
スムーズにのり子が依頼を受けることに決まった。西城とのり子で打ち合わせが始まったため、雅樹と忠司はのり子により半ば強引に奥へ追いやられた。
「なんだよのり子さん、白川さんの時はオレのことからかってたくせに。イケメン、というよりイケオジ?が依頼に来たら『喜んで私が請けますッ』てどうなんスか、忠司さん。」
この前の華美の件もありなんだかおもしろくない雅樹。だが対する忠司は冷静だ。
「女は女同士ってところなんだろう、年頃の娘をいくら何でも屋とはいえ男と二人きりなのも父親としては穏やかではないだろうし当然だな。ここは川島田に任せよう。」
チェッと言いながら、スマホアプリで昼食のデリバリーを頼む雅樹であった。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)
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