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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
21章 来客
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21章 来客 -5

 横で上機嫌な雅樹先輩。私は当然その意図を聞いてみることにする。

 「なんでって?分かってないなぁ美羽ちゃん、こういう客商売は人との繋がりが後の依頼に、引いては自分の給料に繋がるんだよ。カズヤさんからその家族や知り合いにまた紹介してもらえればそれだけオレ達の収入も増えるってことに繋がるのさ。」

 早い話が営業ってことか、でもそれも賢い方法だなと思う。考えてみれば古きよき手法ではあるのだろう。例えばインターネット上にホームページを作っても誰も見てくれなければ意味がないし、チラシを配ったりポストしても捨てられたらそれまでだ。しかし人の口コミというものはバカにできないもので、昨今のインターネットは口コミ専用のホームページすらあるほどだ。

 「分かっていると思うが、プライベートなことはあまり踏み込むなよ。」

 そう、私達が先日のり子先輩の私情を探ろうとして所長に怒られたばかりなのは記憶に新しいことである。

 「それはもちろん大丈夫です、ご心配なく。本当にタダのお友達として連絡先交換しただけですから。それにほら、こういうのって後々役に立つからね。」

 何のことだろう?

 「まぁまぁ焦らない焦らない。仕事も恋愛も、焦って良いことないからね。オレが言うのもヘンだけど。」

 それよりも、と言いながらパソコン席を立つ所長。

 「明日はかなり重要な依頼人が来ることになっているから、慎重におもてなしするように。俺はちょっと出かけてくるから、雅樹あとはよろしく。」

 当然のようにどこへ行くんですか?と問いかけた雅樹先輩に対し、所長は目を伏せ小さく頷く。その動作を見た雅樹先輩は何かを察したようで、それ以上追求することはしなかった。アイコンタクトでどこに行くのか分かってしまうのが、私にはちょっと羨ましかった。

 「大丈夫、美羽ちゃんもその内分かるよ。忠司さんはいわゆる"常連さん"のところへ行ったんだね。」

 私は所長がいなくなったパソコン席を陣取る、のり子先輩に頼まれていた仕事があるのだ。

 「はぁ。それにしてもこの事務所、出入りが激しいですね。私が雇われて数ヶ月経ちましたけど、毎日誰かしらは出かけてますもんね。」

 「そうだよ、美羽ちゃんが入る前は3人だったからね。チラシを配ったりしているからアポ無しでの飛び込み依頼もたまにあるから、基本的に常に誰かいるようにはしているんだけど、美羽ちゃんが入ってきてくれて助かるよ。そろそろ一人で留守番も任される頃じゃないかな?」

 「えっでも私、まだ自分だけで依頼を受けたりしたことないですし、そもそも初対面の人と話すっていうのがどうにも…。」

 それを聞いてあははは、と大声で彼は笑う。

 「でも仕事は仕事だからね、いつまでも嫌だ苦手だで逃げ続けられるわけじゃない。美羽ちゃんだってそのくらい分かっているだろう?」


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。


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