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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
21章 来客
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21章 来客 -1

 西野さんの件が解決したその日。現在午後16時。

 「あ、そうだ。言い忘れていたけど今日このあと事務所に来るのよ、カズヤくん。あと1時間くらいかしら。」

 「「え!?」」

 私と雅樹先輩が唐突なのり子さんの宣言にすっとんきょうな声を上げる。

 「美羽ちゃんが行った合コンに参加していたイケメンで、のり子さんと現在付き合ってる人!?」

 「付き合ってません。飼ってるペットの面倒をたまに見る約束をしたって前に話したでしょ?彼の家の鍵を今日受け取るのよ、明日から2日間出張なんですって。」

 そういえばカズヤさんは猫を飼ってるって言っていたっけ。

 「美羽ちゃんとのり子さんが口を揃えてイケメンって言うくらいだから、よっぽど男前なんですよね?よーし、オレがジャッジして差し上げましょう。こういうのは同性同士の方が厳しく評価できますからね。」

 「なんだか雅樹くん偉そうね。お願いだから恥ずかしい真似しないでよね、ぶっ飛ばすわよ。」

 心なしか語気が強い、しかものり子先輩の目に殺気が宿っている。これは本気だ!しかし怖がる私とは対象的に雅樹先輩は平気な様子、多分彼女に凄まれることには慣れているのだろう。

 「そうだ、忠司さんにも教えておこうっと。のり子さんの彼氏が来るって。」

 「アンタ人の話聞いてる?ペットシッターの依頼を受けるだけって言ってるでしょ!美羽ちゃんごめん、ちょっとその辺掃除機かけておいて。」

 飛び込みの依頼でも無い限り、依頼人が来る時間がある程度わかっていれば事前に軽く掃除しておくのがこの事務所のルールとなっている。最初はのり子先輩が気を利かせて一人でやっていたそうだが、所長と雅樹先輩も見習って真似するようになったそうだ。

 私が掃除機をかけ、雅樹先輩がテーブルを片付け、のり子先輩はコーヒーやお茶菓子の準備…をしながらメイクを直している。お客様に応対する前にメイクの乱れをチェックするのは女性としてのマナーよ、と以前教えてもらったが、ちょっと念入りなのは私の気の所為ではないだろう。


 17時が近づくに連れ私達が3人揃ってそわそわしている頃、ついにそのときがやってきた。明らかに事務所に足音が近づいてくる。ガチャ!

 私達3人が目を向けると、男性が2人立っていた。所長とカズヤさんである。

 「この事務所を探していたから、連れてきたんだ。」

 「いらっしゃいませ、こちらにお名前をどうぞ。」

 のり子先輩はさすがだ、営業スマイルでいつも通りの対応。帳簿に名前を書くカズヤさん、そしてその様子をニヤニヤしながら見つめる雅樹先輩。傍から見たら不審者である。

 カズヤさんが事務所内に入ってくると、うっ!汗臭い!私は思わず顔をしかめてしまう。

 「あーすいません、自分仕事帰りなんで。一回着替えて来ましょうか?」

 しかしのり子先輩は笑顔のままである。

 「奥にシャワー室があるから使ってください。所長、いいですよね?」

 「ああ、こちらへ。」

 所長が奥へカズヤさんを連れて行った。


 「それから雅樹くん、これでコンビニへ行ってシャツと下着を買ってきてくれる?余ったらお駄賃にしていいわ。」

 「やった、ラッキー!いってきまーす。」

 五千円札を受け取った雅樹先輩は喜んで買い物へ走っていった。

 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。


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