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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
20章 ウワサ話にご用心
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20章 ウワサ話にご用心 -5

 私はなんだか悔しいので、ニュースサイトをもう一度片っ端から読み漁った。そして見逃していたのだが、どうやら逮捕された男に前科はないらしい。私はそこで閃いた!

 「のり子先輩、分かりました!この犯人の男は前科はなく初犯と報道されていました。それなのに侵入する時に窓ガラスを割る際、音が鳴らないよう工夫していたと報道されていました。そこがおかしいんじゃないですか?初犯の割にはけっこう手慣れている感じがするんですけど。」

 これでどう!?と言わんばかりに彼女を見る私に対し、のり子先輩はハッキリと彼女は首を振る。

 「甘いわねぇ美羽ちゃん、犯人はハンマーを持って侵入していたのよ?つまり最初から窓ガラスを割る気満々だったってこと。普通、住宅街の家の窓を割って侵入しようと計画するなら、窓ガラスを割るときの音なんて当然犯人こそ最も警戒するんじゃないかしら。だってご近所さんに音を聞かれて警察なんて呼ばれたら家の中を物色する前にアウトよ?それに音を出さない工夫なんて今時パソコンやスマホでちょっと調べたら出てくるじゃないの。現にアタシだって空き巣や強盗した経験はもちろんないけど、そのくらいの知識あるわよ。例えば割る前にガムテープなんかで軽く養生することで割る範囲を最小限にできるし、破片の散らばりを防止すると同時に音もある程度小さくできるのよ。だからアタシ、そこの部分は特に不思議に思わなかったの。節子さんを殺した凶器が侵入に使ったハンマーだと分かった時点でね。」

 私のターンと言わんばかりに解説するのり子先輩。くぅ~、なんだか負けた気分である。いや何かを勝負しているわけではないのだが、とにかく敗北した気分だ。

 「そうね、でも一つだけヒントをあげる。美羽ちゃんの着眼点は悪くないわよ。」

 どういうことだろう、と思ったがここで入口が開き人が入ってきた。お盆休み中にのり子先輩がこなしていたハウスキーパーの依頼料を払いに来たという女性だ。のり子先輩が対応しに行き、私は代わりにソファー席を素早く片付ける。そのままお客さんのためのコーヒーを淹れに行く…さすがに数ヶ月働けば、鈍臭い私とはいえこのくらいの動きは体に染み付いていた。


 のり子先輩がお客様の対応を始めたので、私が変わりに経費の精算を引き継ぐ。しかし事件のことがいっぱいで電卓を叩く手が疎かになっていたようだ。

 「ちょっと美羽ちゃん、コレ計算めちゃくちゃよ?どうして出費の合計金額が250万円にもなるのよ、事務所メンバーの誰もこんな高額な買い物していないでしょ?事件のことに集中したいならアタシがやろうか?それとも自分でやりなおす?」

 いつの間にか来客対応を終わらせたのり子先輩が横に立っていた。しまった、目の前の仕事に集中しなくては。私は慌てて椅子から立って謝り、1から計算をやり直すことにした。計算をミスしたのは自分のせいである。そういえばお客様が帰るときの挨拶も忘れてしまった。


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。


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