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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
19章 花火大会と恋の予感
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番外編 意外と過酷な何でも屋さんの日常業務 1

 お盆休みの時期は以前言われていた通り大変だった。私は人付き合いが苦手なので、極力人付き合いのない依頼をまわしてもらったのだけれど、これがひどかった。夏といえば雑草が伸びる、そう!世間が夏休み真っ盛りのこの時期は、庭管理や墓地清掃の依頼が舞い込むのだ!私は庭師のようなことはできないからもっぱら庭や墓地の草むしりがメインだったけれど、炎天下での草むしりはかなりキツい。しかもお金をもらっている立派な仕事であるため、時間内にキレイにできなければ日が落ちても作業を続けねばならない。

 ただでさえ最高気温36度の猛暑の中で作業するのだ、体力は貴重。のり子先輩のアドバイス通り、2Lのペットボトルの水を持参してよかった。むしろそれですら足りないくらいである。のんきな私はこんなに過酷だと思わず、出発前に500mlのペットボトルを1本買ってきましたと彼女に見せたら笑われたのだった。熱中症にだけは気をつけるようキツく言いつけられ、麦わら帽子や濡らすだけでひんやりする冷感タオルなども貸してもらった。さらに日焼け止めも汗ですぐ落ちるため、頻繁に塗ぬように言われた。

 生き物たちも敵だった、なにせ私は昆虫や爬虫類などは大の苦手である。しかも虫除けスプレーをしているとはいえどうしても虫は寄ってくるし、そもそも雑草の根や茎にくっついている生物は当然相手にしなくてはならない。そのため最初の頃は葉の陰に隠れたコオロギやカマキリが出てくる度に驚いて尻もちをついたり、ちょっと持ち上げた石の下からダンゴムシやムカデがカサカサと出てきたときはギャーッ!と悲鳴をあげていたものだが、1日で慣れてしまった。人間とはすごいものだ。なにせ尻もちをついても悲鳴をあげても、生き物たちはお構いなしに出てくるためである。

 いちいちリアクションを取る方が体力を消耗することに気づき、1日目の夕方には耳元でトンボが飛んでいても私は気にならなくなっていた。

 なんと大の虫嫌いを仕事を通じてかなり克服できてしまった私だが、正直そんなことはどうでもよかった。そう、本当の敵は筋肉痛である。特に墓石の周りや畑の周辺は手作業で慎重にやらねばならず、意外と神経を使う。何より体勢的にすぐ足と腰が痛くなった。

 真夏なので19時すぎでもまだ日が落ちきっておらず気温も30度を記録する帰り道、私は今日1日で相当腕や足を酷使していたことに気がついた。日中はしっかりと根を張った雑草を引っこ抜いたり昆虫から逃げ回ることに必死で気づかなかったが、これは絶対に明日筋肉痛になる。元々引きこもりの人間がいきなり肉体労働したらそんなことになるのは当たり前なのだが、私は今更ながら気づいて恐怖を感じ、通り沿いにある薬局によって筋肉痛対策の湿布や塗り薬をいくつか買って帰った。


 1時間おきに日焼け止めを塗り直すようにしていたのに、やはり日焼けしていたらしい。お母さんになんだか海へ行ったみたいに焼けたねぇと言われた。親は健康的に日焼けした娘を喜んでいたが、私はのり子先輩のような透明感のある色白美人に憧れているため少しショックだった。というかのり子先輩だってお散歩代行の依頼などで炎天下を歩き回るはずなのに、どうやってあの色白を維持しているのだろうか?

 お風呂でしっかり温まり、寝る前のベッドの上でお母さんに協力してもらい腕・肩・腰・足などあらゆるところに湿布を貼ってもらっている内に私は眠ってしまった。


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。


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