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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
19章 花火大会と恋の予感
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19章 花火大会と恋の予感 -9

 数日後。連休が明けて最初の出勤日。そういえば学生の頃って、私は部活にも参加していなかったこともあり7月の後半から9月の頭まで夏休みだったけれど、社会人になったらそんなものはないと思い知る。スマホの天気予報は本日の最高気温を38度と予想しているが、そんな猛暑の8月でも社会人は仕事なのだ。

 「お盆休み?うちは無いわよ。正確には世間とはちょっとズレて休むことになるわね。」

 朝から女二人で開業準備するのも、もう慣れた。たまにのり子先輩が朝からいなくて1人でやることがあるけれど、一人より二人でやったほうが効率的に終わるわ。当たり前だけどね。


 「なぜかって?そりゃ休みの時に集中的に依頼が舞い込むからよ。アタシが毎年受けるのはペットシッターね。犬や猫を始めとした、ペットを買っているお宅からの依頼よ。ご家族が旅行や実家へ帰省に行っている間、朝昼晩と原則3回見に行ってご飯をあげたり散歩させたりおトイレの片付けをしたり。」

 「でも動物の世話だったら、私にもできるかも…。」

 早めに終わったため私たちは男性陣が出勤してくるまで優雅に朝のコーヒータイム。

 「甘いわね美羽ちゃん、そりゃ1件だけなら楽よ?でもね、結構な数の依頼が来るのよね~コレが。去年なんてアタシ一人で6件だったかな、大変よ?1件終わったら暑い中すぐ次のお宅へ移動して、終わったらまた移動して…。ペットの世話よりも家を回る方に体力を消耗したわね。」

 この事務所は私が採用されるまで従業員が3人しかいなかったらしい。つまり4件以上の依頼が舞い込んだ場合、誰かが2件以上を掛け持ちすることになるのだ!

 「何でも屋さんの仕事って結構過酷ですね…。」

 「アタシなんてそれでもまだマシな方だわよ。雅樹くんは暑い中あちこちのお祭りの屋台番に、毎日昼から夜遅くまで顔を出していたからね。気温38度の中お肉やたこ焼きをずっと作り続けるのよ?常に鉄板の熱を浴びてなきゃいけないから大変よ。そして八重島さんは日中にスズメバチ退治や運送業の手伝いをしながら、夕方から夜にかけてレンタル彼氏の依頼をこなしたりしていたわね。」

 「話に出てきたほとんどの依頼が夏休みシーズンのこのタイミングで需要が高いのは分かりますけど、運送業の手伝いも?」

 「運送業ってね、年末年始・ゴールディンウィーク・お盆休みの前は基本的にどこも大変なのよ。なぜなら大型連休に向けてお店が仕入れを強化するでしょ?だから商品を運ぶ運送業もそれに合わせて大忙しってわけ。たしか八重島さんの知り合いに一人、元自衛隊で今は運送業を自分で立ち上げた人がいるのよ。知り合いのよしみってことで、その会社が忙しいときは手伝いに行っているらしいわ。もちろんお金はもらってるわよ、相手が知り合いとはいえあくまでビジネスだからね。」

 なんだか話を聞いてたら不安になってきた。私が思っていた以上に何でも屋ってハードワークなのかもしれない。

 「だから美羽ちゃん、基本的にお盆の前後は休みなしよ。その代わり振替で8月の後半か9月頃に5連休くらい取っていいからね。」

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