5章 運動の秋・食欲の秋・恋愛の秋!?-6
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/10/6 9:00
「なるほどね、まぁどうせ一筋縄ではいかないと思ったけど。」
忠司から昨日の事情を聴いて納得した様子でうなずくのり子。どうやらのり子は自宅に帰ってしばらくしたあと、雅樹にどうだった?とメールを送ったが返信がなかったことでいろいろ察していたのである。というのも良い報告なら私から連絡する前に自慢してくるだろうと予想していたからだ。
「それでも相談なら私が乗るわよ~とかなんとか、ノリノリだったじゃないか。」
忠司がそういうとのり子は平然とこう答えた。
「そりゃ、雅樹くんがハイテンションで騒ぎ立てるんだもの。水を差すようなマネはしたくないし、浮かれる気持ちも分かるからね。私としてはなんとなく残念な結果になっちゃったけど…それにしても雅樹くん遅いけど、まさか今日から?」
そのまさかである、早速ジョギングに付き合わされているのだ。華美はサービス業に勤務していて月曜日と木曜日が休みなので、それにあわせて一緒に走ることになっている。雅樹くんが来たらなんて声かけようかしら…とちょっと気がかりなのり子であった。
それからおよそ2時間後、雅樹が事務所に出勤してきた。
「おはよーございまっす、のりこさん!」
のり子の心配とは裏腹に、いつもより元気いっぱいの様子である。ゲンナリして出勤してくると予想していただけに、拍子抜けするのり子。
「あら元気ね雅樹くん?てっきり華美さん男でしたよーって、落ち込んで事務所に出てくるのかなって思ってたのに。」
のり子が言うと、雅樹が答える。
「昨日は堪えましたよさすがに、めっちゃ楽しみにしてたのにぽっちゃり男がどうもって現れたわけですから。でも今朝さっそくジョギング始めたんですが、やっぱ運動は良いもんですね。今の季節涼しいから走って体温上がってちょうど気持ちいい感じになるし、それに年代が一緒だから話も合うし。最初は依頼とはいえちょっと嫌でしたけど、こりゃオレも一緒にダイエットできそうッス。まぁジョギングの後うまいラーメン屋教えてくれるっていうから、食べてきちゃいましたけど。」
そう言いながら笑う雅樹に呆れるのり子。
「あのねぇ、せっかくカロリー消費したのにラーメン食べたらおあいこでしょ。二人とも本当に痩せる気あるの?」
そんなツッコミを、まぁまぁ何事も続くことが一番大切ですからと気にせず言い放つ雅樹。
「それより…ひどいじゃないですか忠司さん!華美さんが男だって気づいてたなら教えてくださいよ、浮かれてたオレがアホみたいでしょ。」
雅樹がそう抗議するが、いつものようにネットニュースに目を通しながら忠司は反論する。
「いや良くメールの文面を読めばこのくらい推理できたろ、勝手に浮かれて怒るのはただの逆上だな。それによかったじゃないか、ちゃんとした依頼として受けたんだからダイエットしながら報酬ももらえて一石二鳥だろ。」
まぁそうですけどね、とどこか納得いかない雅樹であった。
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22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)