番外編 合コンの女王 17
家に帰ると、よほど心配だったのかお父さんが玄関まで迎えに来た。そりゃ彼氏も友達もいないような娘がいきなりおめかしして合コンへ行ってくる!と朝飛び出して行ったのだ。心配もするだろう。
のり子先輩は大げさに頭を下げる私の父に軽く頭を下げ、帰っていった。私は案の定怒涛の質問攻めにあった。私の両親はお見合い結婚したマジメな人達で、2人とも合コンなどというものに縁がなかったのだ。
「合コンって何するの?」
「どんな話で盛り上がるんだ?」
「王様ゲームって今の時代もあるのかしら?」
「どんなお店だった?」
「やっぱり緊張するの?」
「いい人はいたのか?」
「料金はどのくらい?」
私が答える間もなくこんな感じの質問が矢継ぎ早に飛んできた。おそらく私が聞き取れなかったものを含めれば倍くらい聞かれただろう。
しかも両親は、学校を卒業してからメイクはリップのみで私服もTシャツジーパン姿しか見せなかった私が、急にしっかりメイクのピンクワンピース姿という180度正反対の女の子らしさ全開ファッションをしていることにも興味を示した。もちろんこれはのり子先輩に選んでもらった服装な上に、メイクも彼女にしてもらったので私の実力ではないのだが。あ!っていうか先輩から借りたバッグと靴、返さないと。
私が合コンで男の人達とも仲良くなって、連絡先を交換したと告げると両親はオォーと色めき立った。お父さんの方はしょうもない男だったら追い出すからな等と息巻いていた。まだ付き合ってすらいないのに娘を持つ父親とはこういうものなのか。
私は部屋に帰り、改めて全身鏡で自分を見てみる。いつもは着ないような服を纏い普段はしなかったメイクをしている鏡の中の自分はとってもかわいかった。のり子先輩に感謝である。
スマホを開いてみると、誰からも連絡が入っていなかった。ちょっとガッカリして、のり子先輩にお礼のメッセージを送ってみる。
『美羽ちゃんにとっての初めての合コンが楽しいもので良かったわ!最初が最悪だと次回以降の参加も二の足を踏んでしまうからね。靴とバッグは明日事務所に持ってきてくれればそれでいいから。えっ男性陣から連絡がこない?あーあの人達カラオケに行ったらしいわね、ユウヤさんからアタシのところに今からでも来ませんかって連絡来たわ。』
やっぱり美女は合コン後に男性から追い打ちのメッセージをもらえるって噂、本当なんだ。まぁ私は緊張してほとんどうつむき加減で会話に参加できていなかったし、きちんとアピールしなかった自分が悪いのだけど。
『そう気を落とすことないわ。それに相手からメッセージが来ないなら自分から送ったらいいじゃないの。何も女からアピールしちゃいけないって法律は無いんだから。頑張ってね~。』
私は勇気を出して男性4人に今日はありがとうございましたとメッセージしてみた。しかし社交辞令に見えるのか、相手からも同じメッセージが届いただけだった。
いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。




