番外編 合コンの女王 14
「遅れてすみません!」
このとき女性陣はみんな目が釘付けになり、隣のミユさんとアイさんも一時休戦した。遅刻した人に注目が集まるのは人間心理として当たり前の話ではあるけど、そういうことではない。身長180cmほどの長身に小顔で目鼻立ちのはっきりしたいわゆるしょうゆ顔の、イケメンというよりハンサムという言葉がしっくり来るカッコイイ人だった。服装はスト系とカジュアル系のミックスだろうか、トップスだけオーバーサイズだがそれ以外のアイテムはシンプルである。ヒゲを生やしているがいわゆるおしゃれヒゲであり不潔な感じもしない。
「どうもすみません飛行機が遅延してしまって…。自分カズヤって言います。」
「俺の知り合いなんですよ。すみませんがツバサくんとレンくん、一個奥にズレてもらえますか?」
幹事のユウヤさんの知人が遅れてくるとは言っていたけど、この人のことか。しかも目の前の席に座られた!
「あ…あらそう、飛行機の遅延じゃ本人のせいじゃないものね、仕方ないわ。アタシ女性幹事が来られなくなったから代理で参加しました、のり子って言います。せっかくだからみんなでまた軽く自己紹介しましょうか。」
開始前は遅刻してくるようなヤツなど言語道断!と断罪していたのり子先輩が手のひらを返したように態度を軟化させているのがちょっとおもしろい。そういえばいつだったか、のり子さんはイケメンが好きなんだよと雅樹先輩が教えてくれたっけ。まぁ私もイケメンは好きだから人のこと言えないけど。
「改めまして、遅れてすみません。カズヤって言います。歳は25で、趣味は小中高とずっと続けていたバスケです。雇われバーテンダーをしていた時期もありますが、今は塗装業で働いてます。なので仕事の日はペンキまみれになってたりします、特に風の強い日は。あとはドライブしたりカラオケしたりが趣味です、ヨロシクお願いします!」
「あ、俺もバスケ好きだよ!学生時代もやってたし。よろしくね!」
ツバサさんとカズヤさんはバスケ好き繋がりで早速意気投合したのか、女性陣を放っておいて男同士で連絡先を交換し和気あいあいと盛り上がり出した。くっ…私だって連絡先を聞きたい!でもガッツいたら引かれるしな…というオーラが女性陣側から出ていた。だって私も連絡先を知りたいのだ。
「アタシ、ユウヤさんとカズヤさんが知り合いって聞いて不思議だったのよ。けっこう年齢差があるでしょ?」
「あー俺とカズヤはSNSで知り合って、何回かプライベートで遊んでいるんですよ。それで今回声をかけたわけです。一人でもイケメンが多いほうが女性陣は嬉しいでしょ?」
そう言って笑うユウヤさんが神様に見えた。あなたのお陰で、私は今イケメンと対面で座れています!
「でもカズヤさんって相当なイケメンね、どこかの事務所に所属してたりしない?」
のり子先輩がすかさず話を切り替える。
「ありがとうございます。自分、小学校の頃に某男性アイドル事務所にお姉ちゃんが勝手に応募してオーディションへ連れて行かれたことがあるんですよ。最終選考までは残ったんですが、演技ができなくて落ちましたね。」
照れくさそうに話していてかわいい。それに演技ができれば今頃はアイドルか俳優になっていたということではないか。女性陣のテンションは一気に上がった。
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