5章 運動の秋・食欲の秋・恋愛の秋!?-3
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/10/3 15:30
「ただいまーってなんだ、2人ともチラシ配りするんじゃなかったのか。」
忠司が帰ってきた。例のマダムのジムトレーニングに付き合い結局パーソナルトレーナーのようになってしまったという。今後も月2回程度のジム同伴を条件に、報酬をはずんでもらったようである。ジムのシャワーを使ってきたようで、爽やかな面持ちであった。
「今日のチラシ配りは夕方から、帰宅するサラリーマンやOLさん狙いに配ろうと思って。それより八重島さん聞いてよ、この事務所にも春が来たわ!」
興奮した面持ちでのり子がしゃべると、忠司が頭に疑問符を浮かべながら返す。
「何言ってるんだ、今は10月で秋だぞ。」
「季節の秋じゃなくて、恋愛的な意味で春ってこと。雅樹くんにお気に入りのお相手ができたみたいなのよ。」
のり子がズバり言ってのけると、雅樹が続ける。
「そうなんスよね~。いつも女性からの彼氏のフリして!みたいな依頼は忠司さんに強奪されてきましたけど、今回は渡しませんよ。あさってその依頼人もここに来てくれるんですから。」
語感が荒い、いろんな意味で興奮しているのだろう。そんな雅樹をよそに忠司はパソコンの前に座り、いつものように今日の依頼内容の記録と収支を付け始める。
「強奪しているつもりはない。それにそんなに興奮して、一体なんの依頼なんだ?」
キーボードをカタカタ打ちながら一応依頼の確認はする忠司。
「ザックリ言うと、ダイエットを手伝ってほしいって依頼です。」
雅樹が言うとダイエットならジムはどうだ?と案の定スポーツジム通いを提案してくる忠司。
「ダメですよ、もう一緒にジョギングするって約束なんスから。もうオレなりのジョギングコースなんかも考えてあったりしますから、ほらオレってデキる男だし?」
誰も聞いてないのになぜか得意気な雅樹。
「まぁなんだからよく分からんが、とにかく依頼者に失礼のないようにな。」
忠司はクールに言い放ち再びパソコンでの打ち込みに集中し始めた。
「うーん、やっぱり八重島さんはこの手の話題には興味薄いのね。まぁいいわ雅樹くん、チラシ配り行きましょう。それとアタシにはちゃんと報告しなさいよ、恋もダイエットもアドバイスほしいなら女性目線からいろいろ手伝えることもあるだろうから。」
忠司とは反対にのり子はノリノリである。
「さすがのり子のアネゴ、頼りにしてます!じゃあ忠司さん、今日は戸締りお願いします。」
そういうと二人は陽気に事務所を出て行き、早めに入り口の看板をCLOSEにしていった。
「なんというか、わかりやすい二人だな。」
一人残った事務所で忠司が静かに呟いた。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)
いつも閲覧ありがとうございます。感想・評価・指摘などありましたらよろしくお願いいたします。