5章 運動の秋・食欲の秋・恋愛の秋!?-2
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/10/3 12:00
「まぁ今日のチラシ配りは夕方頃からにしましょうか、学生さんや会社帰りのサラリーマンを狙いましょう。で、わざわざ転送設定までしたってことは雅樹くん好みの相手ってこと?」
雅樹を諫めつつも、しかし恋バナとなれば気になるのり子。
「いや写真とかは交換してないんですよ、ただすごく丁寧な文章の人で。とにかく見てくださいよ」
--相手--
初めまして、何でも屋のチラシを見てメールいたしました。恥ずかしながら、何でも屋ということは個人的なお悩みにも乗っていただけるんでしょうか?実は私、意中の相手がいるんです。アプローチを頑張ろうと心に決めた矢先、その方が『健康的な体型が好きだなぁ』と言っているのを聞いてしまいました。でも私自身はかなりふくよかであり、このままアプローチしても嫌われるのは確実です。そこでダイエットのご相談などに乗っていただくことはできますでしょうか?一人でラーメン屋などに行くのも緊張してしまう性格で、良かったら一緒にスポーツなども…。このメールがご迷惑でしたら無視してください。華美チヒロ
「あー、いるわよね一人カラオケとかできない人って。でも好きな人へアプローチを決めたなんてけっこう積極的なのねこの人!」
実際のメールを目の当たりにして、のり子もヒートアップしてきたようである。雅樹はもちろんノリノリだ。
「でしょ!文面的にも結構マジメな印象というか、悪い人じゃなさそうですよね。」
--雅樹--
初めまして、お問い合わせありがとうございます。うちは何でも屋ですから、お悩み相談でも大丈夫ですよ!ところでいかがですか、オレでよかったらダイエット一緒に頑張りませんか?オレもお腹がちょっと出ていてキッカケ欲しいなと思っていましたので。最初は一緒に公園でジョギング、なんていかがでしょうか?
「なるほどね~つまり雅樹くんは、スポーツジムの話題を出すと八重島さんに取られちゃうから、ジョギングを提案したわけね?難易度は低いし、すぐ始められるから断られる確率を低くできる。おまけにジョギングの前後も含めて直接お話ができるから仲良くもなれる。そういうことね?」
さすがのり子である、鋭い。それに対し、いやーえへへと笑ってごまかす雅樹。
ちなみにその後も雅樹と華美さんのやりとりは続いており、2日後の10/5詳しい日程などの相談に訪れるという。なんだー雅樹くんもけっこうヤるんじゃなーい!と、普段ツッコミ側であるのり子だがこの手の話題はやはり好きなようだ。だがのり子は一点引っ掛かり、雅樹に尋ねる。
「でもこのメール、気になる人にアプローチってことは華美さんって人にはすでに好きな人いるんじゃないの?」
雅樹はその質問、待ってましたとばかりに答える。
「んなもん、ジョギングを何回か一緒に重ねて仲良くなってオレの方に振り向かせればいいんですよ!」
そう簡単にいくかしら?などとひとしきり盛り上がった後、二人は思い出したように昼食の話題に戻った。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)
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