17章 アタシの、煙に巻かれた、記憶。 ~Memory Memory~ -7
のり子自宅 2:20
アタシはお酒を飲むとき、ハメを外しすぎないことを第一に考えている。だから酔っ払ってて記憶が無いだとか、飲みすぎて気分を悪くして吐いちゃうみたいな、そういうよく聞くお酒の失敗というものはアタシ自身経験はない。
なぜかといえばアタシの周りには酒癖が悪い人が多かったから。20歳を過ぎてアタシもそれなりに友人や職場の人と飲みに行く機会があったが、その度に酔って暴れる・吐く・説教臭くなる・車に轢かれそうになる…。そういう酔って他人に迷惑をかける人達の姿をイヤというほど見てきたからこそ、アタシは絶対に泥酔して人様に迷惑だけはかけるまいと心に決めている。そもそも場の雰囲気やノリをより楽しむためにお酒を飲むのに、体調を崩したり周りに迷惑かけて嫌な思いさせては本末転倒ってものよね。
それにあまりにも酒癖が悪い人は周りの人がドン引きしてしまい、物理的にも心理的にも距離を置かれやすいものだし。
とはいえ今日は深夜までお酒を飲んで、しかもたくさんおしゃべりしてきたためかなり眠い。アタシの生活リズムだといつもはとっくに夢の世界にいる時間なので当たり前ではあるのだけど。お酒の効果もあって今夜はぐっすり眠れそう…というか油断して横になろうものなら、すぐにでも眠ってしまいそうだ。アタシはゆっくり座りたい気持ちを押し殺して、素早くシャワーと歯磨きを済ませてベッドへ潜り込んだ。
シャワーを浴びたら少し目が冴えた。眠れそうで眠れない微妙な気分の中、ベッドの中でいろいろ思考を巡らせる。そういえば、アタシあのダンディーなマスターの連絡先ゲットしちゃったのよね。…ってアタシとしたことが、肝心なことを聞くの忘れたわ!パートナーはいますかって。確か両手の薬指には指輪はしていなかったけど、でも接客業だと指輪の判断って信用ならないのよねー外している人が多いから。あとは配送関係や工場関係、飲食店関係なんかも異物混入を防止するという観点からアクセサリーを外す人が多いわね。というかルールでそもそもお店や敷地内にアクセサリー自体を持ち込み禁止っていう企業もあると聞くし。
ってそんなことどうでもいいわ!とにかくあのマスターにパートナーがいるかどうかを確認するのが次のミッションよね。アラサーにもなって浮気・不倫問題になったらシャレにならないわ。
それから嘘が分かるという姪っ子さんの話…本当なら何でも屋に働きに来てくれないかしら?いろいろな事件や依頼の解決に役に立ちそうな能力ですものね。ただし正直ちょっと胡散臭いけど…でもあのマスターが嘘ついてる感じはしなかったし、会って本人から話を聞いてみる必要があるわね。
もしかして嘘を見抜くテクニックみたいなものがあるのかもしれないわね、そしてその子は無意識にそれを実感している。そういえば体内時計が正確な人は相手の"受け答えする時間の差異"で嘘を見抜くことができるって聞いたことがあるわ。嘘を考える時間が挟まるから、嘘を付く場合の方が受け答えが遅いとかなんとか…。
うーんまぁいいや、そろそろ眠れそうだし…おやすみなさい…。
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