3章 小さな2人の依頼人-6
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/9/27 12:00
腹減ったから飯食ってからにしましょうよと騒ぐ雅樹をよそに、忠司とのり子で話を進める。
「ということは、川島田には解けたのかこのなぞなぞが。」
「そうよ。でもこの星野ちゃん姉妹には、ご両親が立会いのもとで伝えようと思うの。これはあの姉妹のおばあさんが、ずっと言いたくて、でも言い出せなかったことなのよ。」
で、その答えは?忠司に続いて雅樹も真剣モードになってくる。
「まずあのなぞなぞね、最初は普通に計算するのよ。そうすると上から順に538258となるのは二人も分かるわよね?ここからがポイントなんだけど、これを"スマホのフリック入力"、つまりタッチ入力に置き換えるの。おばあさんと一緒にスマホやタブレットで遊んでいるという姉妹の話を思い出して気づけたわ。姉妹がいつも使っているスマホの入力をなぞなぞに利用したのね。でもただひらがな入力しても意味がないわ。そこで英語の塾に通っているとも言っていたから、まさかと思ってアルファベット入力してみたのよ。このときに、横の画像が役に立つわけ。つまり矢印はフリックの方向、そして〇はそのまま。これでスマホのアルファベット入力をすると"LEVART"となり、最後にでんぐり返しさせると…。」
「TRAVEL、トラベル…旅行か。」
忠司が自分のスマホで実際フリック入力しながら呟く。
「そう。姉妹に何がしたい?と尋ねられたおばあさんは"これがしたいねぇ"と言ったわよね?きっとご家族で仲良く、自分の大好きな旅行に一緒に行きたかったのよ」
そこで雅樹が口を挟む。
「なんで?そんなこと一緒に旅行へ行きましょうと口に出して言えばいいんじゃないッスか?」
「アタシの考えだけどおばあさんは足腰を悪くしている、と星野姉妹ちゃんが言ってたわよね?だから自分から旅行へなんて言えなかったんじゃないかしら、どう考えても同行する家族に気を使わせてしまうもの。でも愛する家族とお孫さん達と、大好きな旅行に行ってみたいという気持ちも捨てられずにいる…お孫ちゃんたちになぞなぞという形でその気持ちをそれとなく打ち明けたのかしら。」
忠司が納得したように続ける。
「だから謎明かしは、ご両親を呼んでからか。そしておばあさんに内緒にするのはサプライズのためってところか。」
16時前。のり子は以下のやりとりを星野姉妹としたのだった。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後に改行)
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