16章 謎の女-12
・体力 95
・装備品 なし
・持ち物
回復剤×1
戦神の宝玉のスフィア
えんまく玉
爆竹
雅樹はその石碑を読んであることを確信した。だがいかにも何かありそうなこの噴水、周囲をぐるっと見たが特におかしなところはない。女神像は目を瞑り穏やかな顔で両手を天に伸ばしているものの、手の先には何かを持っている様子はない。
今度は石碑の前ではなく、なるべく女神像に近づいて調査ボタンを押してみる。
●システムメッセージ
「神聖な光を蓄えた泉です。女神のメッセージを読み解けたなら、泉の水に手を伸ばしてみましょう。あなたに知恵と力があれば、女神は答えてくれるでしょう。」
見るからに公園などにある噴水なのだが、このゲームでは泉扱いなようだ。だがそんな細かいことはどうでもいい、雅樹はさきほどの確信を胸に迷わず泉の中に手を伸ばす。あと少しで雅樹の指先が水に触れようかという時に女神像が激しく光り出した!
あまりの眩しさに思わず手を引っ込め両手で顔を覆い目を瞑る雅樹。直視したら視力が危ない、そのくらい激しい光だったのだ。
しばらくしてゆっくり目を開けると、光は収まっていた。女神像に目を向けると変化が起きており、天に掲げていたはずの両手を胸の前に差し出すような位置に降ろしていた。
近づいてよく調べてみようと思ったが、体が動かない!すると頭の中に柔らかな女性の声が響いてくる。
「旅人よ、あなたは試練を受けるのですね。あなたの浄化すべきもの、それはご自身で理解しておられますか?光の試練を受けるならAボタンを、拒否するならBボタンを押してください。ただし拒否した場合および試練に失敗したはペナルティとして、スタート地点とは別の入り口に飛ばします。」
雅樹はAボタンを押した。この迷宮に入ってから浄化すべき自身の失態、アレしかない。
『では聞きましょう旅人よ、この迷宮に住み着く魔物の名を。』
雅樹が宝箱のトラップにかかったとき、答えられなかった質問だ。だが今は分かる、迷宮に住み着く魔物…そしてさっき見たあの姿。さらに泉の石碑に彫られたあの名前…。
雅樹は自信を持って答える。
「モンスターの名前は、ミノタウロス!」
頭の中にまた柔らかな女性の声が響いてくる。
『そう、あの魔物はミノタウロス。彼は破壊衝動のままに生き、この迷宮に連れてこられた人々を襲い続けているのです。旅人よ、あなたは試練を乗り越えました。あなたがもつ宝玉を私の手に。』
雅樹は戦神の宝玉のスフィアを女神の手の上に置いた。すると噴水も含めた泉・女神・スフィアがそれぞれ光だし、女神の頭上の空間が歪む。
『この泉の光、この宝玉に秘められた力、そして見事試練を乗り越えたあなたの知恵。この3つを見事に揃えたあなたにはコチラを授けましょう。』
オレの予想が正しければ、この光から生まれるのは…。
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。