16章 謎の女-4
華美の方はバーチャル空間に作られた遊園地や水族館を、3D装置を通してリアルに遊べるゲームのようだ。子連れ客に大人気のようで、会場直後だというのにかなりの人数が並んでいる。ちなみに今回のイベントは一般客も入場料さえ払えば後からでも入れるようである、さすがに雅樹が参加しているランキングバトルの方はエントリーした者のみのようだが。
そして肝心の雅樹の方。この部屋のランキング用ゲームは8人分の椅子と3D装置が用意されており、雅樹を含むランキングスタッフの説明が始まった。
この部屋での課題は『迷宮宝探し』。3Dゲームの中に巨大な迷路が作られており、プレイヤーは3D装置を通して実際に自分が迷路を歩いているような気分になれる。このゲームのルールは以下のとおり。
・制限時間は1時間。
・迷路の中にはモンスターがうろついており、このモンスターを討伐することでクリア。クリアまでにかかった時間が短いほどポイントが多くもらえる。逆に制限時間内に倒せなかったり、モンスターに攻撃されて自分の体力が無くなるとゲームオーバー。
・迷路の中には複数の宝箱が設置されており自分の体力を回復する薬や、モンスターを攻撃できる爆弾など様々なアイテムがあり取得したアイテムに応じても微妙にポイントがもらえるがクリアポイントと比較すると微々たるもの。
・ただし宝箱にはトラップが仕掛けられていることもある。
・モンスターの体力は高く、剣や槍や爆弾を使っても根気強く戦う必要がある。とある手順を踏むことでで即クリアできる、いわゆる『裏技』も用意されているというが…。
(要するに自分がゲームの主人公になってモンスターとリアルに戦えるってことか。ちょっと緊張するけど、おもしろそうじゃん!)
説明を終えたスタッフがでは椅子に着席してください、と言った途端に雅樹はいの一番で自分に近い椅子に座る。他の参加者たちも釣られるように空いた席に座ると、それぞれ3D装置を頭部に装着しコントローラを手に持った。ちなみにゲームと現実が混同してコントローラーを物理的に投げないようスタッフによって腕にリストバンドで固定され、胴体と椅子もベルトで固定された。
「それでは、誰がモンスターを倒すのか。はたまた全滅か…。ポイントバトル開始ッ!!」
スタッフが掛け声とともにポチッと手元のスイッチを押すと、参加者たちの視界が一気にぼやける。自分の目に直接モザイクをかけられたようなその景色に雅樹は思わず強く目を閉じ、そして1呼吸置いてから目を開けるとさっきまでいたホテルの大宴会場とは別の景色が広がっていた。手にはコントローラーを持っている。
頭の中に声が流れ込んでくるようだ。
「方向キーを押した方にあなた自身は歩きます。Aボタンを押すと走り、Bボタンでアイテムを使う。武器を持っていればCボタンで攻撃でき、Dボタンは調査…怪しいものや人を見かけたらとりあえずDボタンを押してみましょう。」
体力はコントローラーに100、と表示されている。
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。




