2章 行き過ぎた好意は困りもの-6
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/9/16 PM6時30分。
「はい女性陣が先に座ってねー、その対面側が男性陣ね!」
幹事の女性が案内して皆着席した。ちなみにのり子と雅樹のペアは少し離れた2人席に通されたので細かい会話は聞こえないが、一応合コン席は見える位置である。
合コンは定石通り、飲み物注文→順番に自己紹介→食べ飲みしながら会話という形で滞りなく進んでいく。忠司は怪しまれないよう白川とだけでなく、周囲とも会話するようにしていた。特に女性陣から白川とはいつから付き合ってるのか、といった質問攻めにあったが打ち合わせ通りの設定で応対していく忠司。もちろん町出のことは警戒していたが、特に無理矢理白川に絡んでくるような様子もない。スマホで密かにやり取りを行う。
『町出さん、そんなに白川さんへアピールする様子が見えませんが』
『皆の前だからだと思います、それに一番端同士ですから。』
「なんだよ忠司さん、結構女性陣から話しかけられてるし楽しそうじゃないッスか。クールに仕事だから~なんて言っておきながら楽しそうにしちゃってさ。」
ふてくされる雅樹である。
「いいないいなー、町出さんって航空会社勤務って聞いたわよ?白川さんがいらないって言うならアタシにアタックしてくれないかな~。」
対照的なのり子であるが、一応合コン会場の男性陣は見張っているようである。この二人は一体何しに来たのであろうか?
「とは言え、オレやのり子さんがあそこに突撃しても"誰?"ってなるからこれじゃホントに忠司さんと白川さんを見守り隊ですよね。笑い声くらいしか聞こえてこないし。」
ハァーとため息を付きながら、一応雅樹も合コン会場に目をやるのであった。
一方合コン会場。
俺ちょっとトイレ!と言って席を立つ町出。それに次いで忠司もじゃあ自分も、とトイレに立つ。男同士ごゆっくり~などと謎の冷やかしを受けながら町出についていく忠司、彼と直接コンタクトを取るチャンスである。
どうもと言いながらトイレで町出の隣に並ぶ忠司。町出の方から笑顔で話しかけてきた。
「八重島さん、けっこうモテモテですね。合コンに女連れで来たので驚きましたが、さすがイケメンは違いますね!でも一緒に来た白川さんに後でシメられません?」
「いや彼女の方から一緒に行こうと誘われたので、一人じゃ不安だからついてきてと。町出さんこそ今日の飲み会、どうですか?どなたかお気に入りの方いますか?」
一瞬キョトンとした後、笑顔で町出は忠司の予想外のことを言い放ったのである。
「え…あぁ、俺はいいんですよー!だって俺」
町出に次いでトイレを出た忠司は、歩きながら事務所H・M・Oのメンバー二人にスマホでメッセージを送信する。
『今トイレで町出くんに気に入った人いるかと質問したが、"俺彼女います、数合わせッス"と言われたぞ。』
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後を改行)
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