14章 生配信中の殺人事件-スムーズな解決…1
のり子が4人分のコーヒーを用意し、黙って来客用テーブルに集まる一同。
「じゃあ始めるわよ。この事件はニリポンの元編集スタッフだった寿々林さんが、一昨年の年末に辞めたことが発端なのだとアタシは直感したわ。そして彼女はただスタッフを辞めたわけじゃない、当時一部の掲示板で自殺だったという噂が立っていた。そうよね警部さん?」
のり子が警部に話をすると、驚いたリアクションを見せる雅樹と警部。
「じゃあ証言にあった、田島宮淳史の詐欺で自殺する人もいたっていうのは…。」
「あぁ、そうだがなぜそのことをのり子くんが知っている?それにその寿々林という女性は現場の状況からも自殺で、真似する者が出ないよう報道規制が取られていたからメディアも詳細なことは一切報道できなかったはずだ。掲示板などの書き込みも寿々林さんに関すると思われるものは、3か月程度で全て削除された…私はそう聞いている。」
二人のリアクションを待ってのり子が一息に語り出す。
「警察が対応したのは当然、寿々林さんの自殺後よね?でも当時、彼女はSNSもやっていたの。ニリポンが動画を投稿するたびに、新しい動画が出ましたと宣伝するためにね。アタシはまだSNS使っていなかったけど掲示板にスクリーンショットが貼ってあったわ、"信じていた男に裏切られた。私はもう…。"と書き込まれそのまま更新が停止していると。彼女は自殺する前に自分のアカウントの削除依頼も出していたのね、1か月ほどでアカウント自体消えたそうよ。
それで最期の投稿と相まって世間には怪しく見えた、だって編集スタッフを辞めるだけならSNSを消す必要はないじゃない?そしてその後に自殺した女性の遺体が見つかったという簡単なニュースが流れた…死因は服毒死。」
「それってまさか…。」
「そうだ、寿々林さんのことだ。毒の詳細は真似する者がいるといけないから、中毒死とだけ報道されたはずだ。」
段々事件との関わりが見えてくる雅樹と警部、黙って聞いている忠司。
「だからアタシも事件概要を聞いたとき、寿々林さん絡みの事件だと視点を置いて考えたの。そうして考えると全て合点がいくのよ、わざわざ彼女と同じ毒死を狙っている点もね。
まず新人担当者の真鍋さんは容疑者から外したわ。寿々林さんが辞めてからの加入で彼女のことはほとんど知らないだろうし、そもそも彼女はスタジオの状況を考えると無理なの。切符で電車の利用時間をごまかしたとしても、守衛がタイミングよく席を外しているとは限らない。都合よくニリポンが部屋から退出しているとは限らない、むしろ鉢合わせしてしまうリスクの方が高いわよね。
だから容疑者は残る二人、マネージャーか企画担当者に絞られるわ。」
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
※5/8 更新分です
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