14章 生配信中の殺人事件-新人編集者の証言3
「次は事件当日の行動をお話しください。」
「その日は夜9時に家を出ました、スタジオまで徒歩と電車で30分程度なので…。でも温かい車内でウトウトしてしまって、3駅ほど乗り過ごしてしまいました。慌てて反対行きの電車に乗って、スタジオの最寄り駅で降りたのが9時40分過ぎ。そこからスタジオに向かいまして、到着したのは9時50分頃です。案の定、ニリポンさんの楽屋に挨拶へ行ったら遅い!と怒鳴られてしまいました…。」
「守衛さんがいなかったときにスタジオへ入ったと聞きましたが?」
「私がスタジオへ着いたとき、ちょうど巡回中の立て札が置いてあり誰もいませんでした。でも予約してあるし今までもそういうことは何回かありましたから、来場者名簿にきちんと記名してから入りましたよ。でないと不審者扱いで通報されるの知ってますので。」
「あなたも被害者の"大食いのお手伝い"に?」
「そうですよ。結局私が食べたのは大好きなきつねそばだけで、それ以外はすべてキリヤさんが。生放送を見ていた時はヒヤヒヤしましたよ…食べてる途中にニリポンが倒れたから、もしきつねそばが原因だったら私も?って心配になったくらいです。」
「大食いのキリヤさんがいたのなら、彼女に任せてしまえばよかったのでは?」
「生放送後に打ち合わせも予定されていましたから、豊島さんとキリヤさんも揃っていたので。正直なところ最近のニリポンの動画はマンネリなんです。食事・買い物・ファッション・メイク…。女性向けの動画がコンセプトなのでその辺がどうしても再生数を安定して取れるんですけど、やはりそればかりだと飽きられてしまうし。新年度からは『恋愛要素も取り入れよう』と本人はやっきになっていたみたいです、やはり女性って恋バナが好きですから。」
「過去にも恋愛動画にチャレンジしたことがあるとお聞きしましたが?」
「それがさっき言った、私が入る前に男性とデートしたとかいう動画ですね。結局あの男性はすぐダメ男だってわかったみたいですけど、再生数もすごかったしまたデート動画が見たい!ってコメントも多くて。」
「ニリポンさんって正直なところ、男性にモテるタイプなんですか?なんでもチャンネル登録者数はとても多くて人気だと話題なようですが。」
「逆です、いわゆる女ウケは良くて男ウケが悪いタイプです。だからこそダメ男でも、近づいてきてくれたのが嬉しくて舞い上がって動画にしていたように私は見えました。まぁニリポン自身もあまり男性とのコミュニケーションが得意じゃないみたいで、それが"非モテ"に拍車をかけていましたけど。」
※非モテ…いわゆる『モテない人たち』のこと。
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
※5/3 更新分です
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