14章 生配信中の殺人事件-新人編集者の証言1
最後は真鍋さん、この人は事前情報の通りマイペースな人で聴取の時間ギリギリに到着。
「まずあなたのお名前を担当を。」
「私はニリポンさんの編集グループに去年の春入りました、真鍋亜季と申します。編集は主にテロップ付けとカット割り、たまにニリポンさんのカメラ係としても同行していました。」
「たまに?」
「ニリポンさんの動画コンセプトはおひとり様なので、普段は自撮り棒を使った撮影が多いんですよ。だけどそういうのが困難と思われる場合などは私が呼ばれます。」
「ではニリポンさん達と行動し始めてまだ1年経っていないんですね。」
「そうです、前任者の寿々林さんって人は既にお辞めになられていたので。編集関係はキリヤさんから、カメラはニリポンさんに直接こういう角度で撮ってほしいなどと指導されながら覚えました。まだまだ編集速度は遅いですけれど。」
「あなたは被害者と何かトラブルは抱えていましたか?」
「そんな、私を疑ってるんですか?私じゃありません!」
「いえいえ、参考程度に関係者の皆さんに聞いているだけですから。形式質問ってやつです。」
「はぁ…。トラブルっていうと、お給料関係ですかね?毎月25日に払ってもらう約束しているのに、遅いときは次の月にまとめてとか。一応もらってはいましたから未払いではなかったですけど、勝手に支払日をずらされるのは正直不満でした。」
「豊島さんやキリヤさんの話では、なかなかそのことも言いづらかったとか?」
「はい、私はまだ1年も経ってない新人ですし年も6つほど下なので。だからって私が殺したりしてません!」
「あなたが犯人ではないということを証明するためにも、いろいろなことをお聞きしているだけですからそう興奮なさらず…。ただ変に隠し事をするとこちらも疑わざるを得なくなりますから、正直にお話しくださった方が今後のためでもあります。もちろん言いたくないことを無理に、とは言いませんが。」
「はい。」
「他には何かトラブルや不満に思っていたことはありますか?」
「カメラも兼任してますので、そっちの方でも。直近だと…11月の半ば頃ニリポンがいきなり朝5時に電話してきて『これから朝8時の便で長崎に日帰り撮影行くから空港で集合!』ってことがありました。なんでも好きなアーティストが長崎出身だからって、こっちはとんだ迷惑ですよ。その日の2時過ぎまで編集してたので、2時間くらいしか眠れず。飛行機の中で寝ようと思いましたけど『プロなら移動時間も編集しなさい』とか何とか言われて、自分はグースカ寝ていたくせに…。正直言ってムカつきました。」
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