14章 生配信中の殺人事件-マネージャーの証言4
「事件当時の服装はどうだったか確認させてください。」
「私は白のインナーの上にブラウンのカーディガンとグレーのロングコート、白と黒のチェック柄のロングスカート。それに赤い手袋と白いマスクと、寒かったので黒い耳当ても使っていましたが何か問題でも?」
「いえ、特に気になるような部分はないようです。では次に持ち物の確認を、この3つの写真でこちらの荷物は豊島さんが確認済みですが、あなたのものはどちらですか?」
「これですわ、このワインレッド柄のビジネスバッグ。」
「随分大きなバッグですね。」
「私は編集をノートパソコンで行うので、スマホでは画面が小さいものですから。独立したときにこれからも頑張ろうという気持ちを込めて奮発して買ったんです。」
「中身はポケットの物とあわせて…。スマホ・ノートパソコン・スマホとパソコンの充電ケーブル・財布・鍵が1つ・メイクポーチ・青色のハンドタオル・ハンドクリーム・ノート・筆記用具。」
「私の持ち物に間違いないですね。」
「メイクポーチ、随分大きいんですね。」
「女のたしなみですから、それにバッグの要領のこともあります。スカスカだとバッグの中でノートパソコンが動いて最悪壊れてしまいますから、ハンドタオルやメイクポーチで隙間を埋めて動かないように。中身が気になるなら今お見せできますよ、今日も持ち歩いていますから。」
「鏡・アイシャドウ・リップ・ハイライト・ファンデーションにコンシーラー…。一通り入っている感じですね。」
「えぇ、色もそれぞれ何色か入れてますわ。」
「筆記用具入れも大きめですか?」
「はい、100均で売っているやつですけどけっこう頑丈で気に入ってますの。ボールペンやマジック、定規やシャーペンなど一通り揃えていますわ。」
「なるほど、本日はご協力ありがとうございました。」
「こちらこそ、また何かありましたらいつでも言ってください。」
そう言うとキリヤは颯爽とした足取りで去っていった。
「どう思います?あの女性。受け答えの感じにも不審なところは見られませんでしたが…。」
「頭の良い女性という感じだな、だが肝心の"黒い袖口"に該当しそうな服装ではない。メイク道具やマジックで長袖インナーかカーディガンの袖口を塗ると言うのもお粗末だ、被害者が亡くなったその日の内に身体検査と服装・持ち物のチェックが行われているわけだからさすがにバレるだろう。袖をまくってごまかしたとしてもマジックなんかは裏側に染みるし、寒波が襲ったおおみそかに袖まくりなんて怪しすぎる。」
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
※4/30 更新分です
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