14章 生配信中の殺人事件-マネージャーの証言1
「では次に、マネージャーのキリヤさんだ。この人は約束の時間15分前に来たが、それまでは警察署の近くのカフェに早めに訪れ時間を潰していたようだ。」
「本日はご協力ありがとうございます、お名前と被害者との関係について教えてください。」
「霧椰香織、26歳。およそ5年前くらいかな…ニリポンが独立する前からマネージャーを。動画編集の方も担当しております、まぁそちらは投稿前の最終確認がメインですけど。」
「調べたところ、独立以前は2年ほど某事務所に所属していたようですが。」
「えぇ。いろんなSNS配信者が主に所属する、新規の事務所ですわ。ニリポンは22歳のときからそこに所属して、クリエイターという名目で活動を。」
「なぜ独立を?」
「でも組織に所属するということはいろいろなことから守ってもらえる反面、縛りやルールを守らなくてはならない。元から奔放な性格のニリポンは、ある程度チャンネル登録者数…30万人くらいだったかしら?そのくらいのときに独立を決意したんです。私は薄々そのような予感はしていましたから、一緒について出たわけです。」
「なるほど。調べたところ、企画担当の豊島さんと当時カメラと編集兼務の寿々林という女性も一緒だったとか?」
「えぇ。当時からニリポンに対する企業案件などの依頼はありましたから、私1人では当然追いつきませんでした。豊島さんと寿々林さんはニリポンが高校時代からのお友達だったということで、その2人を誘い独立後はしばらく4人での活動となっていました。」
「しばらく4人…他に誰かいるんですか?」
「半年ほど前から動画編集を専門にしているスタッフがもう一人いるのですが、その方は関西に住んでいるのでそっち方面での撮影でもない限りお会いしません。もちろん大晦日の生放送のときもその方は関西の実家にいたようですわ。」
「あなた自身は被害者とのトラブルはあったんですか?」
「さぁ?お仕事ですから、私はビジネスとしてお付き合いしておりましたので。ただニリポンの方からは何もせず痩せてて羨ましいです~なんて、いつも嫌味言われておりましたけどそんなものもう慣れっこですから。」
「でもあなた、ニリポンの大食い企画の"お手伝い"をさせられていたとか?」
「ニリポンがちょっと食べて、画面の外で私が全部食べて容器だけニリポンに戻すやつですね。でもちょうど良かったんですよ、私は大食いなので。」
「えっ!失礼ですが、とてもそのようには見えないのですが…。」
「ご存じありません?フードファイターと呼ばれる人たちって、意外と痩せてる人多いんですよ。私もそういうタイプのようで『消化のときに使うエネルギーが他の人より多く必要だから大食いしても太らない』体質だとお医者様に言われました。だからニリポンのお残しをいただくなんて余裕ですわ、食費が浮いて助かっていたくらいです。」
いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
※4/27 更新分です
※筆者は他にも書いているものがあり、更新がない場合は他の作品を更新している可能性があります。〇日更新分ですを目安にしてくださると助かります。