１４章 生配信中の殺人事件-企画担当者の証言2
「あなたから見て被害者はどういった人でしたか？」
「そうやなぁ、がめつい女やなぁニリポンは。ウチへ払う企画依頼料をネコババするために『私が考えた企画よッ』って言い放つくらいやからな。あと周りの人間を都合よく使う女って感じやな、刑事さん達も知ってるやろ？大食い企画は半分以上、マネージャーや同行している編集担当に押し付けてるって話。」
「ネット上でも噂になっているようですが、本当だったんですか。」
「せやで。今でも十分ぽっちゃり体型やけどこれ以上太ったらヤバい！とかなんとか、だったらダイエットでもやればええのにな。それに食べ物だけちゃうで、男もや。」
「男？」
「そう、ウチのスマホで見せたるわ、ほらニリポンのチャンネル。この一昨年の春頃の『男性とデートしてきちゃいました』ってタイトルの動画、この男が偉い男前でニリポン気に入ってたんや。でも蓋を開けてみればうさんくさい詐欺男、なかなかしつこいから当時一緒に行動してて彼氏もいなかった寿々林を紹介したらやっと諦めてくれた言うてたで。」
「詐欺男？」
「ほら去年の１０月頃に結婚詐欺の容疑で逮捕されたやろ、田島宮淳史って男。アイツやで。」
「あの人ですか、中にはショックで自殺した人もいるとか。余罪の疑いが数件あると見られていて今でも捜査が続いていますが。」
「ウチが聞いた話ではな、ニリポンが彼氏ほしい彼氏ほしいって動画で言いまくってたから騙したろってＳＮＳのダイレクトメッセージから近づいたらしいわ。顔は男前やからなアイツ。でも交際当初から結婚の話を匂わせたり今困ってるから金貸してとか、怪しかったってニリポンは言うとったな。きっちり調べてこってり絞ってほしいわ、女の敵やで。」
「それは警察も尽力します、マネージャーについては？」
「キリヤさんはニリポンと真逆やな、スラッとしてカッコいい女って感じやで。おしゃべりなタイプじゃないところも、仕事は仕事としてきっちり割り切ってるところも素敵やな。大食いのお残し食べてもあのスタイル維持してる秘訣を聞きたいくらいやで。ニリポンはそんなところが気に食わないのか、『クールビューティーって男にウケないのよねぇ』なんて敵意むき出しで動画のネタにしてたこともあったで。キリヤさんがどう思ってたかは知らんけど。」
「では新人担当については？」
「あの子もかわいそうやで、カメラも兼任やからこの前の九州日帰り旅行企画にも朝早くたたき起こされて同行したって言うてたわ。ウチやキリヤさんならバシッと断るのにな、新人だしニリポンも結構すぐイライラするタイプやから言いにくかったんかな。あの子もニリポンの大食いの"お手伝い"させられとったようやし。」
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