14章 生配信中の殺人事件-企画担当者の証言1
「聴取した順番に調書を見ていくぞ、まずは企画担当の豊島さんだ。この人は割とせっかちな性格なのか聴取のときは約束の1時間前に来ていた。」
「あなたのお名前とご職業…というよりご担当は?」
「ウチは豊島れんって言います、ニリポンの企画提案とコメント管理を主にやっていました。」
「被害者のニリポン、本名は中松千恵美さんとの関係は?あとあなた、関西弁がところどころ混じっているようですが?」
「ウチとニリポンは関西出身やねん、しかも高校生からの付き合い。活動しはじめて東京に出てきた後はなるべく標準語を使うように気を付けてるけどたまに出てしまうんです。ニリポンが動画配信者としての活動を始めたのは動画配信者専用事務所に所属した6年前、その時ウチは派遣で働いてました。4年前ニリポンが独立すると言い出して、ウチに一緒にやらないかって言ってきたんです。マネージャーは見つけたらしいけど、自分とマネージャー1人じゃいろいろ手が回らないからって。」
「つまり4年ほど一緒に活動していた、と。」
「ウチだけちゃうで、寿々林っていう友達もや。一昨年まで一緒に活動してたんや、警察の人達もその辺は調べたんやろ?」
「そうですね、その方が辞めて去年の3月頃にあの真鍋という新人さんが入ったとか。」
「せや、しかもまたニリポンが結構理想が高いんか知らんで?けど数年一緒にやってた寿々林と同じレベルを、新人の真鍋ちゃんに求めるんよ。そんなん無理やっちゅう話やろ?新人さんやねんから、だから真鍋ちゃんも結構ストレス溜まってたんとちゃうかな?」
「そうですか。失礼ですが、あなた自身は被害者と何かトラブルは?」
「何、ウチを疑ってんの?まぁええけどな。この前も現場で軽く聞かれた時にチラっと言いましたけど、企画を横取りされたりほぼパクられて『私が考えた企画だから』みたいにシラを切られたことなんて何回あることか…、殺したろかって思うこともありましたよ。」
「そんな企画を取られたくらいで…。」
「あのなぁ、ケーサツみたいなお堅い連中には多分わからんのやろうけど。企画一つ考えるのも結構大変なんやで?流行に乗り遅れてたら見向き去れないし、かと言って流行を意識しすぎるとただのパクりとか2番煎じとか言われる。必死に考えた企画パクられたら誰だってキレますよ。」
「大変なんですね…、あと豊島さんもしかして左利きですか?ドアノブ開けるときも、さっき椅子を引くときも左手を使っていたようなので。」
「せやで。正確には両利きやけど、小さい頃に右も使えるよう練習したんです。まぁ今時は左利き用のハサミとか包丁とか売ってるから、別に苦労せんけど。」
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※4/23 更新分です
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