14章 生配信中の殺人事件-16
容疑者達に動機はあるのか?と質問した3人に対し、と警部が資料を取り出した。それぞれに事情聴取したときの資料も混じっているようだ。
マネージャーのキリヤは見た目も性格も被害者とは正反対な女性だ。聴取にはわざわざスーツ姿で現れ、きちんと長い髪の毛をアップにまとめ眼鏡をかけ理知的な印象を受けたという。外見もぽっちゃり体型でノーメイクすっぴん撮影が多いニリポンに対し、体系もスレンダーで最低限のメイクは欠かさない。さらにニリポンは言葉少なくクールビューティーな印象を与えるキリヤの横に立つと比べられるのが嫌で、SNSなどでもマネージャーばかり褒められて嫉妬していたようだ。キリヤ自身はある程度の服装とメイクは外出時の最低限のマナーとしているが、ニリポンにはその"自分ルール"が鼻についていたようで度々嫌味を言われることもあったという。さらに新人の真鍋によるとニリポンの食べ残しはほとんどマネージャーが食べていたらしい。以前撮影に同行していた寿々林がいた頃からニリポンのマネージャーをしている。
企画担当の豊島は寿々林とニリポンと高校からの同級生で、とくに寿々林とは親友だったと言う。こちらはショートカットで服装もラフな格好で事情聴取に現れ、メイクはナチュラル。ハッキリ物申す、という感じで受け答えもハキハキした感じだった。彼女が被害者と抱えていたトラブルは豊島が出す企画をニリポンが容赦なく却下するくせに、数日後に気が変わったと平気で使う。しかも内容を少しだけアップデートして"私の考えた企画"として使うことが多々ありそれで揉めていたという。企画担当は自分の企画で通った、という実績で報酬をもらうため実質ニリポンは企画泥棒みたいなもんだと漏らしていた。それでは豊島に報酬が行かなくなるため、報酬を独り占めしたいニリポンとトラブルになるのも当たり前の話である。
新人で編集担当の真鍋は寿々林が去った後の約3月からニリポンに雇われたため、寿々林のことは名前程度しか知らないと言う。彼女がニリポンと抱えていたのは金銭トラブル。ズボラで面倒くさがり屋のニリポンは、報酬の支払いを忘れたり滞納することが多々あったという。付き合いが長くハッキリ物申す豊島とビジネスと割り切りお金の話もきちんとできるマネージャーのキリヤと違い、新人で約5歳も年下の真鍋からは言いづらかったという。さらにカメラ役も兼任しており、ネット掲示板にカメラマンが度々深夜に呼び出されたり突如遠方に駆り出されたりしていたのは事実だと言った。
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※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
※4/20 更新分です
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※当然ですが、警部が資料を持ち出しているのはフィクション小説だからです。現実でアウトなのは重々承知です。