2章 行き過ぎた好意は困りもの-2
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/9/9 PM13時
電話を終え、ソファに待たせた白川の元に戻るのり子。「メンバーの男2人に確認しましたが、両方金曜日の夜空いているのでお受けできるとのことです。では詳しく打ち合わせしましょうか。」
のり子は依頼者へいつも説明している、以下の条件を簡単に提示した。
・料金は当日スタッフへ前払い。
・スタッフの嫌がることをした場合はその場で依頼破棄。キャンセル料はなし。
その他細かいことも説明し、白川はハイ分かりましたと頷く。物わかりの良い依頼者でよかったと内心ホッとするのり子。この説明の段階でゴネる人もたまにいるからだ。そしてのり子のテンションは上がる。
「じゃあとっても肝心なこと。うちの事務所は男が2人いるんだけど、どっちがいいか選んでね」
「一人は八重島忠司35歳。見てくれはクールな男前って感じでパソコンなんかも得意、護身術なんかもできちゃうわ。丁寧な性格で前もってきちんと計画を練りたいならこっち。ただあまりおしゃべりなタイプではないし流行にも疎いから、合コンに連れて行くとなると飲み会の空気に乗れなくて難しいかもしれないわね。」
「もう一人は諏訪野雅樹27歳。ちょっと3枚目って感じだけど見てくれは悪くないわ。人懐っこくてノリも良いしカラオケなんかも好きだから、合コンに連れて行っても盛り上げてくれると思うわよ。結構直感型でアドリブもうまいから、事前に話を合わせるのが面倒くさいときもおススメね。」
白川は少し悩んだが、忠司を選んだ。合コンには盛り上がりたくて行くわけじゃないし、きちんと彼氏のフリしてくれて町出啓介を諦めさせてくれたらそれで大丈夫だという。
「分かりました、白川さんお時間はありますか?さっき2人に電話したときに15時には帰れるって言っていたからもう少し待って直接本人と契約していただければ、コチラも伝言ゲームみたいにならなくて助かるんですけど。」
のり子がそう言うと白川はうなずく。
「大丈夫です、今日は半休で午後は休みなので。このままスタッフの方お待ちしています。」
白川はそのままとある疑問をのり子にぶつける。
「あの川島田さん事務所に女性一人で心細くないんですか?ほら物騒な事件とかありますし、私の会社も女性一人での残業は推奨されてないので。」
あーそのこと、と言いながらのり子は笑って答える。
「心配してくれてありがとう。でもうちの事務所、定期的に用心棒的な人が出入りしてるからその辺は大丈夫なのよ。と言ってもコワい人じゃないわよ?」
現役の警部がたまに私用の依頼で出入りしてるなんて言えないのり子であった、だからこそ一人で留守番してても怖くないのだが。
22/12/02 全体的に体裁を修正。(会話文の後を改行)
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