14章 生配信中の殺人事件-4
ニリポンがおいしかったランキングと称して横に設置してあるホワイトボードに蓋を貼り付け、そこに順位と点数をマジックで書き込んでいく。どうやら少し大きめのソファに座っているようで、空いたスペースにホワイトボードを設置しているようだ。
視聴者はその順位を見ながら、青いオオカミはもっとおいしいとか私はOFUの方が好きだとか盛り上がっている。コメント欄にはコメントしている人の写真が小さくサムネイルで映るが、警部の情報通りやはりほとんど女性視聴者が占めている。
ニリポンが7つ目を味見し終えたとき、ガタガタと忙しいそうな音が画面の向こうから聞こえてきた。さっきから残ったそばを回収しているお友達は放送の邪魔をしないように静かにしているから、別人だろうか?すると、ニリポンがそちらを一目見て言った。
「おーそーい、でも買ってきてくれてありがとう!画面の前のみんな、ちょっと大きな音してビックリしたでしょ?今ね、お友達がコンビニの新商品のそば買ってきてくれたの。ビッグスタートで新発売した『コンビニ限定!超大盛焼きそば辛マヨ増しスペシャル』、冒頭で買い忘れちゃったって言ってたやつで~す。今お友達が作ってくれてるし、お湯入れて5分待つみたいだからその前に手元のコレ食べちゃおうかな♪」
生放送は始まってもう1時間ほど経過していた。ニリポンは相変わらずコメントを読んだり蓋を貼ったり剝がしたりしてランキングを変動したり、そばの準備をしたり忙しそうである。これから殺されるとは思えないほど元気で忙しそうな動きである。
そんな動画のニリポンを観察しながら、雅樹がふと思ったことを口にした。
「これ、生放送されてたんですよね?ということは視聴者も…?」
警部も画面を見ながら答える。
「あぁ、だが直接は見えていない。ニリポンが苦しみだして倒れるところまでだ。倒れたニリポンはこのテーブルで隠れて死角になってしまい、画面のこちらからでは倒れたあとの状態までは分からない。この女性はドッキリ企画なども定期的にやっていたようで、当時のコメントを見ると視聴者はまたドッキリかと思っていた人が多かったみたいだ。だが実際は異変に気付いた関係者がそのまま生放送を打ち切り、さらに元旦のニュースで発表されてから視聴者は死んだことを知ったはずだ。まぁ見ていろ、そろそろだから。」
さきほどまで手元にあったそばをお手伝いの人が下げると、ついにニリポンが食べたがっていた超大盛り焼きそばが運ばれてきた。
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
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※3/14 更新分です。