13章 事件と事故-42
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「おそらく日本でも世界でも、手ごわい犯人とは"常識が通じない"犯人だと思う。」
「と言うと?」
「やはり警察や鑑識も人間だからな、どうしても『普通ならこうするだろう』と考えてしまう。だから一般常識と言うか、普通の考え方が通じないタイプは厄介なタイプと言えるだろう。」
「イレギュラーなタイプね、たしかに日本で起きた未解決事件を調べるとなんでこうしたんだろう?とかどうしてこうなったんだろう?って事件が多いわね。」
「意味不明な怪文書とかですよね。筆跡とか指紋からすぐに犯人が見つかると思いきや、真実や何十年も闇の中…なんて事件もありますからね。」
「"普通の人"は悪いことをしてしまったあと、多少の自責の念や良心の呵責があるというが…。そういうタイプの人間は、果たしてどうなんだろうな?」
Cの証言から、次はBが事情聴取に呼ばれた。だがCは証言の内容と態度から事件に大いに事件に関わっていると見られ、留置所に入れられた。Cが事情聴取から帰ってこなかったことから薄々Bが自白しているのを感じていたらしい。警察署に現れ事情聴取を受け始めたBは、すんなり自白し始めた。
BもCと同じく、犯行動機は金だった。元々生活が苦しかったBは、夫に金を借りながらの生活を送っていた。毎月の給料で足りないのは、一獲千金を夢見て競馬に通い詰める生活がやめられないからだった。一度大穴で40万あてたことがあり、それ以来もう一度…とクセになってしまっていた。だが現実にそんなうまい話があるわけでもなく、夫への借金は膨らんでいった。
あとはCと同じだ、今までの借金と殺しの成功報酬をチラつかされて殺人計画に乗ってしまった。妻が編んでいるマフラーを凶器に使うよう指示されていたため、妻がそれを持って玄関に出迎えに来た時はラッキーだと思った。探す手間が省けたからだ。
だが殺すことと殺人計画をなぞることに夢中でCが編み棒で引っ掻かれたことに気づかなかった。そのまま二人で妻の遺体を階段に吊り下げ、そのまま家を去った。
Bはそのまま玄関の鍵をかけずに家を出たと言う。だがそれでは夫の証言と矛盾してしまうが、あくまでそれは夫自身が証言したことだ。彼が玄関を開けるときに鍵はかかってましたと言えば良いだけである。実際は密室でもなんでもなかったのだ。
また警察はこのBとCの証言を受け、夫を殺人教唆の疑いで事情聴取することになった。
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※2/24 更新分です。