13章 事件と事故-38
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「そういえば、一口に殺人と言ってもいろんなものがあるんですね。」
「そうね、せっかくだから聞いておきたいわ!」
「さっき出てきた依頼殺人は説明した通りだな、似たものに交換殺人と言うものがある。AがBを殺したい、CがDを殺したいとする。しかしこのまま実行したのでは元々殺意があったものとして警察の捜査ですぐバレてしまうだろう、そこでAとCが結託する。AがDを殺し、CがBを殺すのだ、もちろんADの間とCBの間に面識はない。警察は当然初期段階では被害者とトラブルを起こしていた人間か、元々動機がある人間を疑うからこの時点で捜査のかく乱が狙えるわけだ。もしAが疑われても『私はそのDという人間は今初めて知りました』とでも言えばいい。無差別殺人でもない限り、見ず知らずの人間を突然殺すというのは普通考えにくいからな。」
「でも交換殺人の約束を交わしているとはいえ、面識ない人を殺すのって躊躇しないのかしら…。」
「殺してやろうって発想するくらいですからね、意外と何も知らない相手の方が殺しやすかったり?ほら変に面識ある方が実行しにくかったりするんですかね。」
「お前…怖いこと言うなよ。」
警察は捜査方針に依頼殺人を視野に入れた上で夫の部下BかC、もしくは2人での共犯と睨んだ。また警察の捜査でBは夫から金を借りていること、Cは常に夫の旅行やゴルフへ金魚の糞のようにくっついて歩いていることも分かった。恐らくCのゴルフ代や旅行代は夫が出していたのであろう、つまりこの二人は夫に対し「金」という弱みがあったのだ。そこを利用されたと警察は踏んだ。
警察はBとCを署に呼び出し、連日にわたり事情聴取を行った。しかし2人とも口を割れば一網打尽にされることは分かっているのだろう、知らない・家にいたを繰り返すだけだった。
しかし妻の実家の母親があることに気づいて警察に以下の進言を行ったことで、それが悪魔たちを追い詰めるカギになる。
夫は2時過ぎに居酒屋を出て、車で5分ほどで家に帰った。遅く見積もっても3時には私の娘の首吊り姿を発見したはずだ。
だったら、なぜ警察の到着は早朝だったんでしょうか?普通見つけてすぐ通報すれば、日が昇らない内に警察が現場に到着したはずではないですか?
それにもう一つ納得できないのは、警察の方から見せてもらったマフラーはまだ編みかけでした。それなのに編み棒が見当たらなかったと聞きました。もう少し詳しく捜査していただくことはできませんか?
いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。
※2/20 更新分です。




