13章 男と女の違い-36
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「なんだか、のり子さんの話聞いてたら女子ってホント怖いなってイメージが…。」
「まぁ話したアタシにも責任はあるわね。そうね、裏を返せばそれだけ女性はコミュニティやテリトリーと言ったものを大切に考えているということよ。アタシの学生時代の友達トラブルの件もそうだけど、A子はB子に気を許していた分好きなアーティストをバカにされた怒りが出たのかもね。かわいさ余ってなんとやら…。A子が激昂してしまったのも、それだけ仲が良かった裏返しとも言えるでしょ?ほら喧嘩するほど仲がいいって言うじゃない。」
「お互い無関心な他人同士なら喧嘩にもならんからな。」
「そういうこと。女子高校生の件もね、悪い方にそういう気遣い使ってしまっただけだと思う。それを良いところに活かすことだってできるの。例えば髪を少し切った、とかメイクがちょっとトーンアップしたとか。そういう細かいところに気づくのはやっぱり女性の方が鋭いじゃない?大切なのは人を傷つけたり悪いことに使わないで、人を褒めたり自己肯定感を上げたりするほうに使えばいいのよね。」
「包丁だって料理に使えば便利器具ですけど、人に向けたら凶器になりますからね。」
「そういうこと。言葉も気遣いもね、なにごとも使いようってことなのよ。」
従業員のBとCにも警察が事情聴取をしたが、Bは一人暮らしで家に帰ったと証言しただけでこれでは当然アリバイがない。Cもまたこの日は飲みに行かず自宅に帰ったが同居している父親が同窓会に出ていたため一人で留守番をしていたらしく、こちらのアリバイもない。
しかしこのBかCどちらかが(もしくはどちらとも)妻の死に関与していたとしても、この2人には動機がない。BもCも夫を自宅に送り届けに行ったときに何度か玄関先で2言3言話す程度の関係だ。当然その程度の面識で殺意に繋がるはずがないと警察は見ていた。
やはり、夫との関係や将来に思い悩んだ妻の自殺か。この件は早期解決するかと思われた、そのとき。
「私、一応奥様の実家に行って事情を軽く聞いてみます。毎週帰っていたみたいだし、何か聞けるかもしれません。」
2人の婦人警官が、妻の実家に向かった。
あの子が自殺?そんなバカなことありますか!妻の両親は声を荒げた。そして将来の子供について考えている最中だ、また夫や将来の子供のためにと編み物も始めたんだ。そんな子が自殺なんてするもんですか!
ただならぬ剣幕に、婦人警官2人は何か感じるものがあった。そして妻の遺体を預かり、本当に自殺かどうか司法解剖が行われることになった。
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※2/18 更新分です。