13章 事件と事故-23
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「犯人特定の捜査方法と言えば、よく聞くのが"DNA鑑定"ってやつですよね。あれって親子の血のつながりも確認できたりするんですよね?」
「そうだな。最近は特に進化していて、欧米の方では70年以上前の事件の真犯人を割り出したなんてニュースもあったな。それもかなり精密に割り出せるため、より証拠品の保管状態が重要視されるようになってきているな。」
「70年前って…犯人寿命か、その寸前って感じよね。でもそこまで特定できるって現代科学の進歩はすごいわね。何かの歌の歌詞にあったけど、本当に自動車が空を飛ぶ世界も訪れたりして。」
「そうしたら駐車場とかどうするんでしょうね?空中に信号機は付けられないし、事故起こしたら部品とか飛び散りそうですし。夢がある反面、抱える問題も多そうですね。」
「その手の話は、人によってどっちに着眼点を置くかはっきり分かれるよな。夢や理想を語るのか、現実的な視点を重視するのか…。」
ここから事件は動き出す。
妻が裁縫を実母に習いだした頃から、今まで抱えていた不安が少しずつ大きくなっていく。
夫の顧客との接待ゴルフや旅行が、ショッピングセンター建設以前より頻度が増えているのである。ショッピングセンターができたからこそ、顧客一人一人を大切にしたいという夫の考えも分かるのだ。だが週末天気が良ければゴルフへ出かけ、旅行も月に1度行く。
ちょっと居酒屋へ飲みに行くくらいなら分かるのだ、だがゴルフや旅行となればそうはいかない。ゴルフは昼からやることを考えれば昼食代なども考慮しなければならず、夜にそのまま居酒屋などに行けば当然出費がかさむ。
旅行だって、そんな毎月顧客や社員を連れて行かなければいけないだろうか?妻は美容室でお客さん達にそれとなく聞いたが、どこの会社も年に1~2回で、親子参加のレクレーションなどを入れてもやっと年3回程度なのだ。
夫に少しは控えた方がいいのではと助言するも、いつも酔って帰ってくる夫は話が通じているのか分からない。それに夫の仕事が減ったぶん夫婦の時間が取れると期待していたのに、蓋を開けてみれば全然夫は帰ってこない。これでは子供がほしいという夢も、自分の店を持つという夢も儚く散るだけではないか?
-今週末は雨だからゴルフ行かないだろうし、ちょっと話してみようかしら?いくらなんでも無駄遣いが過ぎるわ。疲れを癒したいのならちょっと近所の温泉に日帰りで行くだけでもいいじゃない…。あの人、どうしちゃったのかしら?ちゃんと仕事はしてくれているから、良いけど…。
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