13章 事件と事故-21
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「話変えるけど、世の中には昼と夜があるじゃない?太陽と月のようにこの世にはたくさんの正と反があるでしょ?アタシ思うんだけど、ウソが上手い人と下手な人も正反対の位置にいる気がするの。」
「雅樹なんか、口先うまくてアドリブが得意なタイプだろ?」
「人聞きの悪い言い方やめてくださいよ、オレは"頭の回転が速くて口がうまい"タイプなんです!」
「まさにモノは言いようってやつよね。でもウソの見抜き方って、人類がきっと永遠に興味があるテーマよね。定期的に"嘘発見器"とか話題になるもの。」
「元刑事の忠司さん、ズバリ嘘の下手な人の特徴とは?」
「大きく分けて2パターンだな、1つは隠し事が苦手な素直すぎるタイプ。良くも悪くも正直者なので、根は良い人と言われる人達だ。もう1つは嘘に嘘を重ねていくタイプ。このタイプは相手を騙せている間はいいが、ウソが貯金箱のように降り積もって重くなっていく。そしてどこかでしっぽを掴まれたときに、貯金箱を叩き割ったかのようにすべて一気にバレてしまう。不倫バレなどがきっかけで1日で人気が地に落ちる芸能人がこのタイプだな。」
「じゃあ、ウソの上手い人の特徴ってなんなのよ?」
「それは---」
みんな帰る時間は一緒なのか、駐車場を出るのに時間がかかってしまい夫と二人でお惣菜とカップラーメンの夕食となった。最近のカップラーメンは進化していておいしい。考えてみれば今まで良き妻・良き母でいようとなるべく手作り料理にこだわっていてインスタント食品というものをあまり食べていなかった。
夫は夕食後、さっそく翌日のゴルフの準備をすると言って買ってきたものを持って上機嫌で自分の部屋に引っ込んだ。そんな夫の後姿を眺めながら妻は、楽しそうに自分の趣味に打ち込む夫が少し羨ましく思えた。
考えてみれば娘がいたころは育児に追われ、その後は気分が滅入り何もする気になれず、そして引っ越してからは美容室の仕事を始めた。夫の趣味の買い物に付き合いながら、自分には趣味と呼べるものがないのだ。
明日は実家の両親のところへ行く日だ、そのために今日たくさん買い込んできたのもある。
-私もあの人のように何か趣味があれば、もっと前向きな気持ちになれるのかしら…。お母さんは編み物が得意だったっけ。ちょっと教えてもらおうかな、それに将来子供ができたときに手作りマフラーとかプレゼントしてあげるなんて素敵よね。
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