13章 事件と事故-17
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「でもドラマや映画ではまぁ脚本がありますから主人公やその周囲のサポートがあって事件がスムーズに解決していきますけど、現実の警察はそうはいきませんよね?よく"迷宮入り"とか"真実は闇の中"とか聞きますからね。」
「まぁそりゃな。最初からさまざまな証拠が見つかる、犯人のメドがすぐにたつ、死体や凶器が揃っている…現実はそんな脚本通りにうまく行かない。自分の犯した罪を悔いてすぐに自首や自白をしてくれる犯人ならいい。だが捕まるのが嫌だという心理から証拠品や凶器を隠したり、死体に偽装工作を行ったり。それに人間の記憶というのはあやふやだ、時間が経過するほどに目撃証言などの情報も薄れていく。」
「まぁそもそも悪いことするなって話なんだけど。空と海があるように、光と影があるように…。人間にも善の心と悪の心があるってことかしら。」
前から夫の部下のCがゴルフについて興味を示していたようだが、最近ついに始めたようだ。今度一緒に打ちっぱなしにいくことになったらしく、この機に新品一式に買い替えようというのである。妻はそんな夫の話を聞いて思い出した、そういえばウェアもヨレていたしシューズも新しいのが欲しいと言ってたっけ…。
次の週末の土曜日に打ちっぱなしに行くらしく、その前の金曜日に夫はショッピングセンターのスポーツ用品のテナントへ行くと言い出した。妻は美容室の休みを取ってついていくことにした、それに将来に備え貯金のことも考えて無駄遣いされても困る。
このショッピングセンター、完成当初は"無料駐車場200台!"と新聞に大きな広告が挟まっていて、妻の働いている美容室でも話題になった。食料品はもちろんスポーツ用品・家電・薬局・雑貨屋・衣料品を始めゲームコーナーまで設置されており、周辺住民はその広告を見て皆1度行ったものだ。
だが妻は人混みが嫌いだった。美容室で評判を聞くに平日昼間でも駐車場はほぼ満員同然で、店内も広いとはいえ人だらけ。そんな中買い物するのが嫌で、落ち着いてから行こうと今まで足を運んでいなかった。
-明日はショッピングセンター、考えてみればあの人と二人で買い物なんて何年ぶりかしら?今まではあの子を連れていたし、引っ越してからはあの人も私も仕事仕事…。久しぶりに夫婦二人きりの時間、楽しみね!
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