13章 男と女の違い-8
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「懐かしいと言えば、ランドセル!もう店頭には新1年生に向けてランドセルを売り出しているデパートなんかもありますね。この前チラッと広告で見たけど、本当に今時はカラフルですよね。黄色や水色、ピンクなんかもありました。」
「そうね、アタシの頃はまだ男子が黒で女子が赤だったわね。今の子のカラフルなバリエーションは素直に羨ましいわね。」
「でも成長するにつれて好きな色が変わったり、お友達や好きな子と一緒の色が良いとかワガママ言い出したら買い替えたりする親もいるんでしょうか?選択肢が増えるとそれはそれで大変そうですよね、黒と赤しかない頃は子供もそういうもんだと割り切ってワガママ言うこともなかったし。」
「まぁそこは各ご家庭の教育方針があるから、外野がやいやい言うことじゃなさそうだけど。」
【 女児転落事故の概要 】
・事故当日はまだまだ気温も低い2月。
・転落事故が起きたのは6階建てマンションの最上階の角部屋。
・ベランダは日当たりの良い南側にあり、女児はここで太陽光を浴びながら遊ぶのが大好きだったようである。風邪予防などの観点から、昼間は1~2時間ごとに10分ほど喚起するというのがこの家族のルールだった。
・この日の風はほとんどなく晴天で、少し窓を開けている程度なら十分温かさを感じる日だった。
・警察は最初、屋上からの侵入や隣人が犯人の線も視野に入れて捜査した。だが屋上はカギがかかったままであり、転落防止用フェンスをよじ登った形跡や破った痕跡なども特になかった。
・隣人は4人家族が住んでいたが、事故当日は朝から夜まで家族全員で隣町のデパートへ出かけていた。事故のことも帰ってきてマンション周辺が騒がしいことで気づいたという。
・女児の母親である妻は当日、以前から頼まれていた両親の面倒を見るため朝から車で40分ほどかかる実家へ移動。この妻の両親は足腰が悪く、毎週妻が1週間分の食料を代行でまとめ買いしているのだという。この日も夫が休みの日に合わせて実家へ行く予定であった。
・女児の父親である夫は妻が出かけたあと一人で女児の面倒を見ていた。しかし15時10分、顧客から夫のケータイに着信があり「おおよそで良いので修理代金の見積もりがほしい、会社の備品なので経費申請のときなどに必要だからFAXで送ってくれ」と言われた。夫はコンビニでFAXするくらいならほんの10分くらいだろうと考え、女児が大好きな風船を膨らませた。さらに手に持てるよう30cm程度のビニール紐をつけて渡した。案の定女児がごきげんになったため見積書を持って玄関の鍵をかけ、コンビニへ向かった。この時ベランダへ続く窓は換気のために少し開けてはいたが、拳大ほどの幅しか開けていなかったということで風船が出ていくほどの幅はない。
・15時15分、夫がコンビニに到着。早速FAXの前に立ち、メモを片手に顧客へFAXする姿がコンビニの監視カメラに写っている。
・同時刻、女児転落。全身を激しく打ち間もなく死亡していたものと思われる。
・ドンッ!という大きな音に驚いた1階の住民が窓の外を見て事故発覚、警察に通報。一方夫も帰宅後に女児の姿が見えないことと窓がかなり開いているのを不審に思い、ベランダから下を覗いて事故に気が付いた。
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