13章 男と女の違い-5
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「子育ての面でも、やっぱり男女での違いって出るものかしら?雅樹くんそういうの調べたことないの?」
「オレが昔見た資料では、ですけど。"父親は多少のケガはつきもの、なんでもやってみなさい"という傾向が強かったと思います。そして"母親はケガしないよう見守る"という傾向が強かったようです。父性や母性というワードがあるように、やはり男親と女親では視点も変わってきそうですね。」
「まぁこれに関してはどっちが正しいとも言えないわね。スポーツにせよ遊びにせよ料理にせよ、失敗やケガはつきもの。チャレンジしなきゃできるようにならないし?でもだからって大けがしたら元も子もないわ、心配よね。どちらの見方も間違っていないし大切ね。」
夫はこの頃、独立して会社を始めた。もちろん家電の修理請け負い業をメインにしつつ、時間があれば自分から地域のお宅を周るようになった。そこで車が必要になり、車を購入している。家計はまた圧迫されたが車を手に入れたことで夫の行動範囲が広がり、結果的に収入増につながった。
妻は夫が独立したときはさすがに不安だったが、うまく仕事が軌道に乗ってくれたことがとても嬉しかった。また自分も頑張って家計を支えようと、美容室の仕事にも精を出した。お客様一人一人に丁寧に接したり、チラシを作ってみたりした。それが功を成したのか妻の方も忙しくなり、オーナーに感謝され少しだが時給もアップしてもらったりした。
日記の内容も、自分のこと・夫の仕事・食事の献立で大半が埋まるようになった。女児のことも書くようにしていたが、なるべく暗いことはかかずに楽しかった思い出を少しずつ小出しに書くようにした。一気に書いてしまうとその内なにも書くことが無くなってしまうように思えたからだ。
夫の方は従業員を2名雇ったようで、一人は旧友でもう一人は20代の若い社員だということだった。付き合いで客と飲むことも増えたため、妻は厳しく飲酒運転だけはしないでとお願いした。夫も言いつけを守り、部下に送ってもらったり代行を使ったりした。
-あの日私が出かけないで家にいたら…。あの日顧客からの電話があのタイミングでかかってこなければ。運命というものはどうしてこう残酷なの…事前に知っていたら私は出かけなかったし、あの人にも私が帰ってからコンビニに行ってと頼むことができたのに。後悔しても仕方のないことだけど。
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