13章 男と女の違い-3
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
「他にもこんなアンケート結果がありますよ。『長年の親友or付き合って1年の恋人、どちらかを選ぶとしたら?』という質問を男女にするんです。すると大多数の男性が親友を選ぶのに対し、女性はほぼ確実に恋人を挙げるらしいんです。」
「分かる気がする、女性は特にそうかもしれないわね。ほら日常の会話でも、女同士って本当に恋愛の話が大好きなの。いわゆる恋バナってやつ?何はともあれ相手の状況、そして自分の状況を話したい。そしてトキメキに繋げたい!アタシはそう思うわ。男同士はそうでもないでしょ?」
「そうっすねー、大体趣味の話とか今度何して遊ぶとか。恋バナはしてもお前〇〇さんのこと好きなんだろ~ぐらいでサラッと話題になる程度ッスね。」
1年程度で新築の家が建ち、夫婦は早速引っ越した。最初は複雑な気持ちだった妻も、いつまでも事故のあったマンションにいては前を向いて歩けないとついに決心した。また二人で亡くなった子のためにも、一人ほしいねと話をしていたところだった。当時の妻はまだ30代前半だったため、そんな夫の言葉もあり徐々に前向きになっていった。新しい家には将来の子供部屋を想定して、夫婦がそれぞれ部屋を使ってもまだ1部屋余るように建てられていた。
妻が夫に対して抱えていたモヤモヤした気持ちも、この1年ですっかり小さくなった。また新しい家に引っ越してみると、心機一転これからの生活がんばろうという気持ちになれた。しかし自分の部屋に女児の遺影を置き、毎日手を合わせることも忘れなかった。夫も仕事に行く前など手を合わせてくれていた。私の気のせいだったかも、あの人なりにあの子を想ってくれているんだ。妻はそんな夫の行動に嬉しくなった。
妻はパートに出ることにした。住宅ローンを組んだため生活費を稼ぎたいのと、何より家で一人でじっとしていると嫌でも女児のことを考えてしまうからだ。夫の賛成ももらって、さっそく近くの小さな美容室で働きだした。妻は高校卒業後に美容師の専門学校に行っていた経歴があったため、お手伝いからのスタートとしてすぐに雇ってもらうことができた。座席は3席しかなくオーナーと自分ともう2人の従業員で経営している小さな店だったが、近所での評判は良くわざわざ車で30分かけてよその町から来てくれる客もいた。
妻は少しずつ、でも確実に以前のような明るさを取り戻していった。もともと活発な性格だったが、転落事故の件でしばらく塞ぎこんでしまっていたからだ。
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