13章 男と女の違い-1
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
※12章の番外編を先に読んでからこちらにお進みください。
「ねぇのり子さん、世の中『男女平等』とか叫ぶ人が一定数いるけど…ぶっちゃけ難しいですよね。体のつくりも考え方も、男女で違うんだから。」
「そうよねぇ、アタシもそう思うわ。なんだかお互いに都合の良いときだけ『男女平等』って言葉を振りかざしているような気がするの。もっとお互いに譲歩できる世の中になったらいいのにね。ところで雅樹くんって好きな女子にいじわるしちゃうタイプだった?」
「あー小学校の時とか特にあるあるですね、思い出せばそうだったかも…わざとその子に消しゴムとか借りて、すぐ返さなかったり。そうしたら『返して』って話しかけてくれる口実になるでしょ?」
「やっぱり男子ってそうなのね。逆にアタシは好きな男の子には話しかけられなかったなぁ、なんか恥ずかしいっていうか周りの子にバレたらどうしようとか。そう考えたら小さい頃から男女の考え方や違いって明確に表れてるものなのよね。」
発生したのは冬。まだ6歳になったばかりの女児が、両親の外出中にマンションの6階ベランダから転落して死亡するという痛ましい事件が起きた。警察の捜査ではベランダの手すりに風船が引っかかっており、それを取ろうとして転落事故が起きてしまったと結論づけられた。
メディアによりこの件が報道されると、当初は転落防止用の柵があるにもかかわらずなぜ…と人々は疑問に思った。だがベランダにあったバケツを足掛かりにエアコンの室外機に登り、そして風船を取ろうして落ちてしまったということが報道されると可哀そうに…とみんなが胸を痛めた。中にはそんなところにバケツを置くな!などの意見も少なからずあったようだが。
親は何をしていたんだ、そんな小さい子を家に置いて!そう糾弾する声も少なくなかった。母親はその日、実家の両親の面倒を見るため前日から父親に女児の面倒を見るよう依頼していた。そして当日の朝に母親は実家へ向かった。風船はどうやら父親が女児をあやすために作ったようだと、本人の事情聴取を担当した捜査員が証言している。だが一人で女児の面倒を見る父親の元に、顧客から電話がかかってきた。この父親は電化製品の修理業を請け負っており、その見積りを送ってほしいということだった。
父親は女児を一人置いていくのは不安だったが、どうせコンビニでFAXするだけだから10分もかからないだろうと家を出た。そんなときに起きた事故だった。コンビニの防犯カメラに父親が映った時間・電話の着信履歴・女児が転落したと見られる時間がすべて証言と一致したため、父親が嘘をついているようにも思えなかった。
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