12章 あけましておめでとう-8
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2022/1/4 11:50
のり子の考えは大まかにだが合っていた。
犯人は田所であり、恋人を間違えて殺してしまった罪悪感から自白を始めたのだ。以前から恋人の浮気を疑っていた田所は、山本と出かける度に彼女に相談していたようである。だが山本に聞いてもコレといった証拠は得られない。本人が浮気をしていなかった以上当たり前であるが、日に日に田所の不安は募っていった。
そんなとき山本から、4人で帰省するという情報を得る。そのメンバーに高橋が含まれていることを知った田所は、自分の担当する車両を山本へ教えてそこへ乗るように誘導した。本人の供述では毒薬と自殺に見せかけるための密閉容器を用意し、どさくさに紛れて被害者の荷物にでも紛れさせてしまおうと狙っていたという。
そして運命の日。恋人が普段ミネラルウォーターしか飲まないことを知っていた田所は、お茶に毒薬を仕込む。もし違うものを注文されたら、この車両限定のお茶ですからぜひお試しくださいなどと言い買うように勧めるつもりだった。そして田所の読み通りに松村は水を受け取り、高橋という横に座るがお茶を受け取った。同級生だかなんだか知らないが、私の彼に手を出したことを後悔すればいいと思ったという。
だがこのあとが田所の誤算となってしまう。小田切が「このお茶おいしい」と言ったのを聞いて松村が高橋と飲み物を交換してしまったのだ。もちろん他の乗客の対応をしていてそんなことはつゆ知らない田所は、そのまま後ろのデッキへ移動する。すぐに松村が追いかけてきた、田所に他の女と同乗しているところを見られたため居てもたってもいられず弁明にきたのだ。だが田所はこのとき終始笑顔で松村の対応をしていたとデッキにいた警備員が証言。浮気相手と見られる高橋がもうすぐ死ぬと、田所は思い込んでいたからである。
その後、案の定次の車両で車内販売をしているとさっきまでいた車両が騒がしくなる。田所は驚いた、ターゲットである高橋は生きており松村が死んでいるのだ。田所は焦った、すぐに車掌に連絡へ行くフリをして途中のデッキの窓を開け毒のビンと注射針を外へ投げ捨てた。恋人だった松村を自殺に見せかけるという発想は浮かばなかったようだ。
結局田所の供述を元に捜査され、途中にある河川敷の草木に白いハンカチに包まれたビンと注射針が出てきたことが決め手となり、殺人犯として逮捕された。
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※1/13日更新分です。間に合わなかった