12章 あけましておめでとう-4
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
2023/1/4 10:20
【事件当時の状況】
4人の乗る指定席周辺の座席は空きだった。13時30頃車内販売員が前側から後ろへ向かって入ってくると、ちょうどお昼時ということもあり前に座る他の客たちがコーヒーや弁当を注文していた。
そして4人の近くに来た時、山本さんが社内販売を呼び止めた。販売員の田所さんとこれから実家に行くなどと会話をするためだ。少し話したあとでそのまま山本さんは小田切さんの分と合わせて、弁当2つにお茶とコーヒーを1本ずつ、デザート用のまんじゅうセットを頼んだ。最初は4人分まとめて購入しようとしたが、弁当に種類があり後ろの席にいた高橋さんと松村さんが選びたいだろうと思い途中で2人分に変更した。
田所は山本から代金を受け取ると、そのまま後ろの席にいた2人にも声をかけた。特に通路側にいた被害者とは恋人関係だったこともあり、親し気に話しかけていたという。高橋と松村もそれぞれの弁当を選び、お茶とミネラルウォーターを1本ずつ渡して代金を受け取った。
そのまま田所は次の車両へ向かうため、他の客の注文も受けながら後ろの方へ向かっていった。田所が次の車両との間にあるデッキに姿を隠したあたりで松村がお釣りの金額が違うことに気が付き、席を立って追いかけて行った。交際相手の田所になにか用事でもあったのだろうか。
また高橋と小田切もこの時トイレのある前のデッキへ一度席を立っている。この時はまだ、誰も弁当やお茶に手を付けていなかったと思うと前の席にいた山本は証言している。
山本だけは席を立たず、コーヒーを飲みながら皆の帰りを待っていた。帰ってきた順番は小田切、高橋、松村の順だったはずだと言った。
そしてみんなが席についたので、さぁ食べようと小田切が言い出し真っ先に弁当を開け食べ始めた。続くように各自、自分の弁当を食べ始めたという。
隣の席にいた高橋によれば、松村は一通り食事が終わったあとでお茶を勢いよくごくごく飲んだ。半分ほど飲んだだろうか、キャップを閉めふぅと小さく息をついた途端、掠れた声でウッと言い胸と喉を抑えて苦しみ始めた。突然のことに驚き松村に声をかけていると前の席にいた小田切と山本も気づき、騒ぎに気付いた新幹線内の警備員がかけつけてきた。
しかし困惑する一同の前で、被害者は目と口を大きく開けたまま絶命してしまったのだ。
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