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何でも屋 H・M・Oの依頼簿  作者: ゆうき
10章 景品は合コン
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番外編➤忠司の内心-1

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。

 22/12/?? 忠司の自宅

 忠司は基本的に、常に何かしている。決して落ち着いていないわけではない。余った時間はできるだけ有効利用したいという考えの元、ジムへ足を運んだり本を読んだりしている。そんな忠司が、珍しくソファに座って天井を見つめてぼーっとしていた。テレビやパソコンもつけず、暖房や加湿器の音だけが小さく聞こえる部屋だが忠司の耳には何も聞こえていなかった。


 忠司は警察をやめて事務所を立ち上げた頃と比べて、確実に変わった。忠司は一人の時間が好きな人間だった。だから学生時代の頃から女性に交際の申し込みをされたときも、自分の時間が無くなることが嫌で試験が近いからなどとそれっぽい理由をつけて断っていた。別に集団行動が嫌いなのではない、一人の方が好きというだけだ。


 そんな彼が警察をやめた理由は、組織に失望してしまったからだ。組織という物は、小さい頃は"みんなで力を合わせて頑張ろう!"とお互いの考えや実力を尊重し、ともに成長して行こうという傾向が強い。組織としての力は小さいが、その分個人の自由や発想が尊重されやすい。

 だが組織は大きくなればなるほど、秩序が優先されてくる。人数が増えるほどに一々個人の意見を取り入れている余裕がなくなるのである。忠司がそのことを嫌でも思い知らされ、うちひしがれてしまった事件があった。


 忠司が警察にいた頃、警察官内で不祥事があった。それは忠司が捜査一課に巡査として異動して4か月ほどしか経過していない頃、当時の警部が麻薬の密売組織と繋がっているという噂があった。密売人の情報を握りつぶし隠蔽したり、捜査情報を密売組織側へ流し事前に逃がしたりしてその分のお礼として金を受け取っているというものだった。実際このことを糾弾した他の警官が、交番勤務へ飛ばされたりしたというウワサまであった。

 当然忠司は正義の警察がそんなことは許されない、と当時の上司だった日之出警部補へ訴えた。だが日之出警部補はその内明らかになる、と言い具体的に動いたりはしなかった。ならばと内部通報制度へメールしたが、それは当時の警部および警部補へ知らされるだけだった。当然そんなことをした忠司は余計なことをするなと叱責され、特に警部からの評価がやたら厳しくなるなど風当たりが冷たくなるだけだった。警部は上司の警視へ、彼はまだ異動して4か月で馴染めていないだけです、警部の私がそんな不正と関わるわけないですからとごまかして終わってしまった。


 なんのための内部通報制度なのか、忠司は失望した。同時に上司の警部と日之出警部補にも失望してしまった。ここにいる限り、また不正を見つけても握りつぶされるだけだ。そんな俺が偉そうに悪人を捜査することが許されるのだろうか、と。


 そして彼が出した決断は、辞表だった。大きくなりすぎた組織を変えることなど、一個人の力では不可能だ。まして内部通報制度すら生きていないこの組織で…。


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※一部文章が切れていたので修正。なぜ…

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