10章 出題者のり子、その景品は?-6
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。
22/12/05 11:05 事務所
「ちなみに、トーマスの寝室はこんな状況だったみたいよ。まぁ実際はここに描かれていない細々としたものもあったのは当たり前だけど。」
のり子はそう言うと、寝室の見取り図を取り出して見せた。
「証言を整理すると、朝奥さんが出かけて夕方から夜にかけて不倫相手が遊びに来る。マネージャーがその後に訪れたときは応答なし、そして奥さんが同窓会から帰宅後に第一発見者になった…という順番ですかね。」
雅樹がそう言うと、忠司も口を開く。
「トーマスはマネージャーに鍵を渡す人だったとナーシャが証言している、ということは元マネージャーのリンダも合鍵を持っていた可能性が高い。玄関の鍵を閉めるのは誰にでもできたことだ。さらに現場に凶器がないということは突発的な犯行ではないのか、もしくは殺人を犯した後も冷静に行動できたのか…。」
(フフフ…悩んでる悩んでる。そうよね、この事件はアタシだって興味深くて来たるクイズバトルのために温めていたんだから。まぁ興味深かったのは俳優の不倫問題があったからなんだけど。)
のり子は真剣な面持ちで思考を凝らす二人の様子を見ながら満足そうな表情を浮かべている。
「川島田、何かヒントをくれないか?」
忠司だ、今度は雅樹を勝たせるためではなく本気でヒントが欲しそうである。
「そうねぇ…遠回しなヒントを出すけど、八重島さんに有利な問題かしらね?それと凶器は、犯人が犯行を自供後にその人の車から見つかったわ。もっとも3人とも移動手段は車だけどね。」
~ 二人が考え込むこと15分後…。 ~
「おっしゃ!オレ閃いちゃいましたよ、事件の真相。忠司さん、先に解答権使わせてもらいますけどいいですか?」
雅樹が大きい声をあげた、対する忠司はまだ考え中なのかお先にどうぞと言った様子だ。
(んもう、八重島さんに有利な問題にしたのに…また雅樹くんが勝っちゃうじゃないの。リベンジはまた次回に持ち越しね~。)
のり子は二人に気づかれないように、小さくゆっくりため息を吐いた。
いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。