表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/208

三話 ヤケになってレベル上げです!

 レベルが低いうちは特段支障はないようだ。職業ごとの違いがあまりないので、俺はただの大剣使いという感じになっている。


 ウサギ一匹の経験値は少なかったが、レベルは2に上がった。さすが盗賊というだけあって、ステータスの伸びは素早さが一番大きかった。


 ただ正直言うと大剣を装備している時点で俺自身の俊敏性がいくら高くなったところであまり意味はない。速く動けても攻撃速度が遅いのである。まあ今はあまり気にすることではないのだが。


 また少し歩くと再びさっきのと同じウサギとエンカウントした。今度は三匹である。


 初心者はこういう多数の敵と対峙するとパニックになってしまうようだが、ここは大剣の強み。先制で一気に薙ぎ払ってやる。


 と、思ったが……重い!! めちゃくちゃ遅くしか振ることができないじゃないか! 


 先にグラスラビットたちが突っ込んできた。俺は振ってる途中の大剣を使って防御することもできず、モロに被弾してしまった。


 ちょっぴり痛いな。この感覚までリアルに作ってるのは正直ありがた迷惑だ。俺は痛いのが嫌いなんだ。


 くそ、それじゃあまともに攻撃できないじゃないか。とりあえず防御だ防御。


 盾にした大剣に、さっきと同じように突っ込んだウサギたちはみんな頭をクラクラとさせてしまった。


 もしかしたらこれが定石なのではなかろうかというほどスムーズな流れである。


 さあこうなってしまえばあとは楽勝。動かない三匹のグラスラビットに狙いを定めて今度こそ横薙ぎ一閃。一撃で三匹ともを倒すことができた。


 またレベルが上がった。最初の方はすぐにレベルが上がっていくようだ。ステータスも少し上がったが、気になることは別のところにあった。


 スキルポイントというのが手に入った。これも説明書で事前に読んでいたが、これでいわゆるスキルが手に入るようである。


 ポイントをいろいろな項目に配分していくと、その項目のスキルを覚えることができるという仕組みだ。


 さあせっかく手に入ったスキルポイントだから、どの項目に配分しようかというところだが、あまり考える余地はなさそうである。


 今配分できる項目が二つしかないのである。一つは職業スキルの『盗賊』、二つ目は武器スキルの『大剣』だ。


 このアンバランスをどうしてくれようか。『盗賊』に振り分ければ盗賊向きの能力が手に入っていく。『大剣』に振れば、大剣装備時のステータスや、特技が増えていく。


 まあ大剣なんてバグが直り次第装備しなくなるだろうから、『盗賊』に振ろう。今回獲得したスキルポイントは3ポイントだった。これを『盗賊』に振るのだが、最初に取れるのは……


 「素早さアップ」と「隠密」か。どちらにすべきか。……いや、もう決まっているじゃないか。大剣を背負ってしまっている限りは素早さなんて完全に死にステだ。


 俺は迷うことなく「隠密」スキルを選んだ。電子上のボタンのようなものが出てきて、それを押すと、スキルを取得できた。


「「スキル『隠密』を獲得しました。」」


 そのあとでスキルの説明が出てきた。


「このスキルを使用すると、攻撃をするか自身が攻撃を受けるまで他の誰からも見えなくなってしまいます。」


とのこと。ほほう、盗賊らしいスキルだな。ちょっと使ってみるか。


 スキルを使用する際にはそのスキル名を声に出せばいいらしい。まったく、言いづらいスキル名だったらどうするんだ。


「隠密! 」


確かにスキルが使用された感覚がした。どうしてかそう分かるものだ。しかし下を見下ろすとちゃんと自分の体が見える。ほんとに効果あるのだろうか。


 そこにタイミングよくというか悪くというか、敵が現れた。あれは、なんだ。


 右上に出てきた名前は、「ミニゴブリン」。名前の通り小さいゴブリンだ。まずいと思って大剣の腹を向けて防御姿勢をとった……が、攻撃してこない。


 かといって逃げる素振りも見せない。というかただ歩いているだけに見える。


 そうか! これがスキルの効果というわけだ。今ミニゴブリンには俺のことが全く見えていない。


 試しにミニゴブリンの目の前三十センチくらいのところまで近づいてみた。しかしやっぱりゴブリンは何の反応も示さない。


 ほうほう、これは使える。俺が大剣を大きく振りかぶってもゴブリンは全く気づかない。俺はそのまま全力で大剣を振り下ろした。





 いやはや便利だこれは。あれからどれほどの敵を倒しただろうか。まあ倒すといってもスキルで見えなくなってから至近距離で大剣をフルスイングするだけの簡単なお仕事なのだが。


 しかし経験値は大量に手に入った。俺のレベルはすでに10。パーティーの一員としてならすでに次のエリアに進出できるレベルである。


 だが悲しいかな、俺は独りだ。このままで次に進むのは無理がある。だけど相変わらず仲間は期待できない。


 とりあえず装備はどうにかせねばなるまい。俺はまだ初期装備のままだ。担いでいる大剣なんて石を削っただけのようなもの。もうちょっとマシなものには変えられないだろうか。


 幸い敵を多く倒したのでゴールドもそこそこある。それで装備を新調しよう。


 俺は武器屋に行くために一旦町の中まで戻った。




 


 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] VRのリアルっぽい部分とゲームの定型のバランスがちょうどよく、没入感があって楽しく読めました。 [一言] 新作嬉しいです! 盗賊と大剣というミスマッチな設定で、どうやって話が進んでいくのか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ